金沢市議会 > 2007-09-12 >
09月12日-02号

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  1. 金沢市議会 2007-09-12
    09月12日-02号


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    平成19年  9月 定例会(第3回)          平成19年9月12日(水曜日)◯出席議員(40名)     議長  宮保喜一君        副議長 上田 章君     1番  不破大仁君        2番  下沢広伸君     3番  高岩勝人君        4番  野本正人君     5番  小林 誠君        6番  川 裕一郎君     7番  小阪栄進君        8番  秋島 太君     9番  大桑 進君        10番  山本由起子君     11番  角野恵美子君       12番  粟森 慨君     13番  清水邦彦君        14番  松村理治君     15番  久保洋子君        16番  安居知世君     17番  宮崎雅人君        18番  黒沢和規君     19番  福田太郎君        20番  横越 徹君     21番  田中展郎君        22番  山野之義君     24番  新村誠一君        25番  苗代明彦君     26番  田中 仁君        27番  松井純一君     28番  森 一敏君        29番  森尾嘉昭君     30番  升 きよみ君       31番  平田誠一君     32番  増江 啓君        33番  中西利雄君     34番  安達 前君        35番  井沢義武君     36番  澤飯英樹君        37番  高村佳伸君     38番  玉野 道君        40番  木下和吉君◯欠席議員(なし)---------------------------------------◯説明のため出席した者 市長         山出 保君   副市長        須野原 雄君 副市長        藤崎 強君 公営企業管理者    古田秀一君   教育委員長      津川龍三君 都市政策局長     藤田昌邦君   総務局長       武村昇治君 産業局長       君塚明宏君   産業局農林部長    宮島伸宜君 市民局長       東元秀明君   福祉健康局長     横山外茂二君 環境局長       浜田健一君   都市整備局長     坂戸正治君 都市整備局              市立病院            出口 正君              廣田 健君 土木部長               事務局長 美術工芸大学            小村 隆君   会計管理者      今川 実君 事務局長 教育長        石原多賀子君  消防局長       川村外志夫君 財政課長       相川一郎君---------------------------------------◯職務のため出席した事務局職員 事務局長       篠田 健君                    議事調査課 議事調査課長     河原秀治君              西田賢一君                    担当課長 主査         上出憲之君   主査         横山 健君 主査         関戸浩一君   主査         水由謙一君 主査         安藤哲也君   書記         小木 茂君 書記         岩田典子君 総務課長補佐     松田雅典君   主査         竹本 豊君 書記         中田将人君---------------------------------------◯議事日程(第2号)  平成19年9月12日(水)午前10時開議 日程第1 議案第1号平成19年度金沢市一般会計補正予算(第2号)ないし議案第22号土地改良事業の計画の変更について                                   (質疑) 日程第2 一般質問---------------------------------------◯本日の会議に付した事件  議事日程(第2号)に同じ---------------------------------------     午前10時3分 開議 △開議 ○議長(宮保喜一君) 本日の出席議員数は、ただいまのところ39名であります。 よって、会議の定足数に達しておりますので、これより本日の会議を開きます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △会議時間の延長について ○議長(宮保喜一君) あらかじめ本日の会議時間を延長いたしておきます。 なお、上着の着用は御自由に願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △諸報告 ○議長(宮保喜一君) 説明員の欠席についての通知がお手元に配付のとおり参っておりますので、御報告いたしておきます。     〔説明員の欠席については本号末尾参照〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △議案上程 ○議長(宮保喜一君) これより、日程第1議案第1号平成19年度金沢市一般会計補正予算(第2号)ないし議案第22号土地改良事業の計画の変更について、以上の議案22件を一括して議題といたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △質疑・一般質問 ○議長(宮保喜一君) これより、質疑並びに日程第2一般質問をあわせ行います。 通告がありますので、これより順次発言を許します。 38番玉野道君。     〔38番玉野 道君登壇〕     (拍手) ◆38番(玉野道君) 自民党議員会の一員として、以下、質問をいたします。 質問の1点目は、市民生活の安全・安心の確保に関してであります。 住みよく、弱者に優しい魅力的なまちづくりの基本は、安全・安心が確保されていることであり、それは行政の最も重要な責務でもあります。本市では、市民の暮らしを危機管理の観点から支える安全安心政策会議が市長直属の横断組織として新設されました。この政策会議は、地震や台風などの自然災害だけでなく、テロや大規模事故など市民の生命や財産に重大な被害が生じるおそれがある、あらゆる緊急事態を想定し、いち早く対応するための危機管理基本計画の策定に着手していますが、その策定方針についてお聞かせください。また、補正予算に木造建築物耐震化促進費が計上されていますが、国の耐震改修促進法の改正に伴い、耐震改修促進計画の策定にも着手していますが、その進捗状況をお聞かせください。 さて、近年、災害の犠牲者の多くを高齢者が占めています。災害発生時における高齢者や障害者など要援護者の避難支援の必要性は増していますが、その担い手は、行政よりも町内会などの地域力にかかっています。しかし、その地域力を発揮させるためには、地域と行政の情報の共有化が必要であり、地域と連携した個別対応計画の作成や、福祉避難所の指定など地域コミュニティーの強化が課題であると言えます。また、その避難支援においては、個人情報の保護問題による援護体制の不備により、ハザードマップや福祉マップなどとのシステムを一元化できないことが課題とされています。国は、災害時に要援護者の情報を地域と共有することが重要だとして、個人情報の第三者提供ができるよう、条例の改正とその体制づくりを求めています。本市は要援護者のリスト化を終えていますが、その支援体制づくりと各マップの一元化について、あわせてお聞かせください。 さて、本市の地域防災計画は、自然災害から大規模事故まで、災害特性に応じた対策を定めた政策分野別の災害計画として整備されていますが、消防庁の全国瞬時警報システムや県の土砂災害警戒情報、さらには、10月から運用開始となる緊急地震速報なども含めた体制づくりや、地域防災計画危機管理基本計画との整合性についてお聞かせください。 さて、昨年7月に、大雨により犀川が警戒水位を超えたため、犀川下流域に本市で初めて避難準備情報が発令されました。洪水による人命被害や資産被害を回避しなければなりませんが、公共事業予算が削減される中で、河川行政を取り巻く環境が厳しさを増していることも事実です。しかし、浸水想定区域図の公表により、これら地域での社会的損失や地域格差が生じることを防がなければなりません。浸水想定区域に住み続けられるためには、防災計画の作成や治水対策が早急に講じられなくてはなりません。そこで、県の浸水想定区域図と市の洪水避難地図との整合性や、これらの地域における防水計画と治水対策について、あわせてお聞かせください。 さて、辰巳ダム建設による洪水防止効果に大いに期待するものですが、2012年度の完成が洪水の恒久的解決策になり得るのでしょうか。また、ダム完成後の浅野川から犀川への放水機能のあり方についてどう考えておられるのでしょうか。 また、辰巳ダムの完成により、犀川下流域での洪水の安全性は高まるものの、伏見川上流域での開発や高橋川の河川整備により、伏見川下流域や安原川流域での洪水の危険性は増していると言えます。こうした流域における遊水地、流域調整池、浸透升、地下河川など貯留施設による総合治水対策や、都市計画と関連づけた防災計画の位置づけの明確化とともに、行政区域外からの流入調整など広域的視点も含め、下流域に影響を及ぼさない対策を検討すべきと考えますが、あわせてお聞かせください。 さて、先月20日未明の集中豪雨により、浅野ポンプ場が冠水し、雨水・汚水機能が停止しました。その後、浅野雨水ポンプ場周辺公共施設にも被害が及んでいることも判明したと報道されています。この施設は1980年に建設され、これまでの約30年間、幾多の自然災害の際にも今回のような事態は一度も起こっていません。施設の性格上から、24時間の有人監視体制に自家発電機能や金沢駅周辺雨水増補幹線との連動など、幾重もの安全監視、維持管理システムが導入されていたはずです。なぜ、今回、想定外の自然災害をも想定したシステムは機能しなかったのでしょうか。システムの高度化は、そのシステムに精通し、性能や操作に熟知したオペレーターを必要とします。団塊世代の技術職員などの人的体制に問題はなかったのでしょうか。そして、災害対策本部の設置や本庁担当セクションとの連携など、その危機管理体制はどうだったのでしょうか。公営企業管理者にお聞きします。 また、1時間当たり50ミリとの降水量設定は、施設周辺地域における開発状況と浸水対策、増補幹線などとの連動性などに問題はなかったのでしょうか。さらに、駅西消防署鳴和出張所の通信室や元町福祉センターの防災拠点における被害なども含め、職員の危機管理能力向上のための施策の必要性を示唆しているようにも思います。いずれにせよ、さまざまな疑問や課題、教訓を浮上させています。既に調査委員会による検証が行われておりますが、現時点での市長の御所見をお聞かせください。 さて、浸水想定区域図内に位置する西部クリーンセンター周辺の治水対策はいまだ整備されておりません。岡山地裁でも、浸水の予見について新たな判断が下されたことを踏まえ、施設の危機管理体制の検証やこの地域における治水対策が実行されることが必要と考えますが、あわせてお聞かせください。 さて、この施設の建設当時は、悪臭やばい煙飛散問題などを抱えていたことから、ごみ工場は地域のイメージダウンにつながるとして、二度予算計上された北部清掃工場建設計画はとんざしました。当時の経済界の提言や市当局の基本的な考え方と認識は、周辺環境に十二分に配慮すると同時に、余熱利用については地元還元を考慮し、地域の協力を得ることとしていました。市長は、徳田、岡、江川、そして御自身と4代の市政に携わっており、すべてを熟知されておられます。そして、その間に建設された西部クリーンセンターは、し尿処理、ごみ焼却、下水処理と異なる処理施設を一体化した国内唯一の施設であります。昭和の厳格な中央集権縦割り行政の時代の中で、このような施設を建設した当時の職員の英知とトップの英断に頭が下がります。新工場建設に関しても、そうした姿勢やその基本的な考え方の認識は緩みのないものと思っていますが、改めて市長の所信をお聞かせください。 また、このような施設は、図書館などを初めとした公共施設の機能と違い、その地域の住環境を初めとした社会的資源にまで大きな影響を及ぼすと言われております。こうしたところから、近年、余熱の利用方法として千葉市でアイススケートセンターとして整備されているように、各地で地域のマイナス施設とのイメージを少しでも払拭させようとする努力や、時代の変遷に適応した政策と既存概念にとらわれない新たな政策により、プラス施設へと転換する取り組みが進んでいます。そして、現在計画されている新センターは、単なる焼却施設から熱回収施設へと転換し、現在の3倍程度の発電出力が確保できるとされており、余熱利用による地元還元が課題です。この施設の位置づけと役割の転換を機に、新たに安全・安心まちづくりのイメージアップと、プラス施設としてのコンセプトを前提として、クリーン・エネルギーセンターとしての名称の変更の可能性とともに、新センターにおける余熱の利用方法にも、先達職員にまさるとも劣らない英知の結集による方針が検討されるものと思いますが、あわせてお聞かせください。 また、新センターの建設予定地は、伏見川スポーツ公園施設として整備され、これまで10年以上にわたってソフトボール場として利用されてきた地元住民にとっては大変ありがたい施設ですが、工事が始まれば使用できなくなることから、代替施設の確保が求められます。この対応と建設工事のスケジュールについて、あわせてお聞かせください。 質問の2点目は、公共事業と入札制度に関してであります。 北陸新幹線の平成26年度の開業年次の前倒しもにらみ、県は北陸新幹線の金沢開業効果を最大限に引き出すアクションプラン策定のため、組織横断で具体的に検討する庁内ワーキングチームを発足させています。本市も「新幹線対応行動計画」の策定と「新幹線対応金沢市民会議」を発足させる方針を示しておられますが、それらのお考えについてお聞かせください。また、補正予算に新幹線側道整備事業費が計上されていますが、この間、お尋ねをしてきた新幹線事業の主体である鉄道・運輸機構に対して、地元企業参入要件の緩和による地元企業の参入機会の確保の働きかけは、どのような状況になっているのかお聞かせください。 さて、公共事業の発注をめぐる談合事件は社会問題化しており、その防止策として、これまで入札契約適正化法官製談合防止法が適用されていました。しかし、不正行為が一向になくならないことから、独占禁止法の改正や公共工事の品質確保の促進に関する法律に基づき、本市でも入札制度の改革が行われました。その新入札制度のもと、4月から7月までに低入札価格調査制度が適用される発注工事で、47件のうち37件が調査基準価格を下回ったことから、一たん落札決定を保留し、審査の実施後に契約が行われています。しかし、その公共工事の予定価格は、行政がみずからつくった設計図に基づき、建設物価版や実勢価格を用いて、極めて科学的に工事費全体の積算を適正に定めなければならないとする予算決算及び会計令80条の規定に基づき決定されたものと考えます。適正に定められたはずの予定価格のもとでダンピング受注を急増させていることは、市民共有の財産となる物件の品質確保上の観点から、このような事態や制度の適切性をどのように受けとめておられるのか、お聞かせください。 さて、公正取引委員会は、公共事業における低入札価格調査の件数が急増している状況を踏まえ、ダンピング受注問題として独占禁止法の不当廉売の観点から調査を進め、警告を行っています。また、国土交通省は、「品確法」の施行を受け、価格重視から品質確保重視へと入札制度に対する考え方を転換し、ダンピング受注防止策として、本年1月から施工体制確認型総合評価方式を試行しています。一方、本市では、低入札価格調査において、国に先駆け、平成18年度より数値的判断基準を設け、基準を満たした者のみ詳細な2次調査を行う2次段階調査を行っていますが、低入札価格調査制度を的確に運用するためには、「契約内容が履行されないおそれ」のある場合とは何か、市が求める要件をより具体的にさせる必要があると思います。また、現行体制で十分な調査が実施されているのでしょうか。数値的判断基準の見直しも含め、お聞かせください。 さて、北陸新幹線や金沢港整備関連事業などの将来を見据えた重要なプロジェクトが控えていますが、こうした低入札価格の急増による工事の品質確保や事業の遅滞なども懸念されています。国土交通省は、低入札価格調査を実施した工事に関し、落札候補者に対して挙証責任を求めるとしておりますが、本市としての履行確認体制と今後の対応策について、あわせてお聞かせください。 さて、補正予算にまちなか道路等補修費道路橋りょう等再生事業費が計上されていますが、1960年代の高度成長期に整備された道路、橋梁、下水道などが次々と耐用年数を迎えております。今後、大量の社会資本の更新時期を迎えることから、入札差金の有効活用が求められています。現に今年度から、老朽化した橋梁の延命化に備え、道路橋りょう等再生計画の策定作業が進められています。これは、こうした社会資本の再整備計画や、公共事業の量から質への転換と、優良で質の高い施設の蓄積の推進や、施設更新のための前倒し充当が必要と考えますが、財政当局のお考えとあわせてお聞かせください。 さて、入札制度改革を談合の排除という視点だけでとらえていては、公共事業の目的が達成されると考えるのは必ずしも正しくありません。競争性、透明性、公平性が高まる一方で、異常な低価格落札による公共事業の品質低下の懸念や労働条件への悪影響は深刻な問題となっています。そして、災害時の出動体制の確保や安定的な雇用の確保など、業界は大きな役割を果たしていますし、地場の基幹産業でもあるだけに、今後どう育成していくかとの視点も重要です。そのためには、経営事項審査によるランクづけの見直しを初め、雇用制度の充実度や災害防止協定などの地域社会貢献を数値化し、ランクづけに反映するコンプライアンス評価の導入も必要です。また、発注側の品質や技術を含む総合的な評価能力による対応業務の煩雑化削減の必要性から、入札ボンド制の導入による不適格業者の落札防止も重要と言えます。これらの組み合わせによる現行制度の運用の改善や、市の管理監督体制の充実も必要と思いますが、市長の御所見をあわせてお聞かせください。 一方で、企業局の施工業者登録制度などによる業者の固定化と発注のローテーション化は、実質的に指名入札制度をほうふつさせているとの指摘があります。行政が定める主観的事項や登録制などを初めとする制度や要綱などの規定と運用が、行政側の恣意性を想起させるものであってはなりません。そこで、本庁との入札制度の統一性も重要と考えますが、公営企業管理者の御所見をお聞かせください。 さて、さきの入札制度評価委員会において、本市は今年度下期、試行的に総合評価方式で1件、入札を実施することを公表していますが、低入札価格が急増している中で、工事の品質確保のためにも導入を望む声があります。そのためには、より多くのデータの収集による検証の必要性から、施行件数をふやすことも重要と考えますが、総合評価方式の導入の御所見とあわせてお聞かせください。 さて、総合評価方式の導入は、単に談合防止効果やダンピング問題にとどまらず、首長がどのような価値を評価基準として盛り込むかによって政策目的手段となり得ることから、政策入札としての新たな可能性を含んでくるものと思います。また、地方分権の流れの中で、地方自治体に権限と財源が移譲されつつあり、独自性のある施策の推進の可能性もあります。今後、こうした観点を反映させた本市独自の入札方式の導入の検討も重要です。本市では、主観的事項に子育て支援などを取り入れていることから、既に政策入札に踏み出していると言えます。市民の目線に立ち、地域が優先すべき課題を見据え、環境、福祉などに配慮するとともに、企業に雇用者として適正な労働基準の維持を促し、社会的責任の自覚を喚起することも重要です。また、その審査項目や得点配分により、企業の社会的責任と企業価値の追求への転換を促すことにもつながるものと考えます。市長は、総合評価方式の評価基準のあり方についてどのような見解を持ち、どのような要素を考慮し、入札制度を政策の目的手段として価値を高められるのでしょうか。入札という手段が、その政策目的を実現するための有効な手段となる条件を探し出すことによって、政策実現への可能性と入札制度の持つ意味も変わってくると考えますが、市長の御所見をお聞きし、私の質問を終わります。     (拍手) ○議長(宮保喜一君) 山出市長。     〔市長山出 保君登壇〕 ◎市長(山出保君) 38番玉野議員にお答えをいたします。 まず、危機管理基本計画の策定の方針についてお尋ねでありました。この計画は、これまでの自然災害とか大規模事故に加えまして、感染症でありますとか環境汚染でありますとか、市民の生活を脅かすあらゆる事案を対象にしたものでございます。危機事案に対する全庁的な対応方針と統一的な組織体制の基準を定めようとするものでございます。消防団とか自主防災組織の活用も含めました、金沢の地域特性も反映した計画にしたいと、こう思っておりまして、今年度中に策定する予定でございます。 耐震改修促進計画、それから要援護者支援の仕組み、これにつきましては所管の局長からお答えをし、私からは、土砂災害の警戒情報、それから地域防災計画危機管理基本計画、このことについてお答えをいたします。まず、土砂災害警戒情報につきましては、既に地域防災計画に盛り込んでおります。警戒情報発表に伴います本市の対応につきましても、先般、安全安心政策会議で決定をしたところでございます。また、全国瞬時警報システムでありますとか緊急地震速報等の新しい災害情報につきましても、地域防災計画に反映していくということにいたしています。危機管理基本計画は、災害対策基本法に基づきます地域防災計画を包括するというものになっています。これからの策定に当たりましては、危機管理基本計画地域防災計画の整合ということに意を用いてまいりたいと、このように思っています。 浸水想定区域図については所管の部長からお答えをし、私からは辰巳ダムのことであります。県が策定いたしました犀川水系河川整備計画では、犀川の河川改修を行う、同時に既存の犀川・内川ダムと新設する辰巳ダムの連携運用によりまして、洪水の安全な流下を図って、おおむね100年に1回程度発生する規模の降雨に対応できる計画、このように承知をいたしています。浅野川のこともお触れでございましたが、浅野川放水路によります洪水を犀川に放水することで、流域での洪水被害防止に効率的であり効果的であると、このようにお聞きをいたしています。 伏見川下流域及び安原川の流域での総合治水対策につきましては副市長からお答えをし、浅野ポンプ場等の冠水につきましては公営企業管理者からお答えをいたします。私から、今回の局地的豪雨によります浅野ポンプ場等のことでございますが、気象の特異性に加えまして、非常に専門的で技術的な解明が必要だということもございますことから、調査委員会を設けまして、専門の先生方に原因究明等をお願いしたところでございます。まずは、その調査結果をお聞きをしてまいりたいと、このように思っています。 それから、西部クリーンセンター新工場にお触れでございまして、その危機管理体制の検証については所管の局長から、また、周辺での治水対策については所管の部長からお答えをし、私に、新しい工場建設に関しての方針に変化はあるのかないのかというお尋ねでございました。ごみ処理施設の建設に際しましては、地域の協力を得るということは極めて重要でございます。そのために、周辺環境への配慮、それから、余熱利用の地元還元を行うという基本的な考え方は全く変わることはございません。市民の住みよい生活環境を守っていくためには、なくてはならない施設でございます。それだけに地元の皆さんには、安全・安心な施設にするということを第一義にいたしまして、御理解と御協力を得ながら整備を進めていきたいと、このように思っています。 施設の名称変更等につきましては所管の局長からお答えをし、私から、公共事業入札制度に関連して「新幹線対応行動計画」についてお尋ねでありました。今、金沢市政の最大の課題の一つは、北陸新幹線開業への対応であるというふうに認識をいたしています。開業の前の年が2013年度ということだといたしますと、これまでに歴史文化遺産の保存・整備を初めといたしまして、本市が戦略的に実施すべき具体策を盛り込みました行動計画を策定して、そして、計画的にいろんな施策、事業を進めていく、このことが極めて大事だと思った次第でございます。加えまして、行政だけではありませんで、市民、それから企業等地域の方々がみんなで来街者を迎える体制を整えるということが肝要だと思っております。したがいまして、年明けにも「新幹線対応金沢市民会議」とでも言うべきものを立ち上げまして、来街の促進策、それから市民の皆さんのマナーの向上、こんなことをみんなで取り組んでまいりたいと、こう思っておる次第でございます。 側道整備事業について、地元企業の参入が必要だという御指摘でございました。今、測量とか設計とか工事が地元企業にも発注されております。これからの業務につきましても、地元企業に発注がされるように引き続き働きかけていきたいと、こう思っております。また、側道整備につきましては、本市が工事発注を行う方向で鉄道・運輸機構と協議を進めているところでございます。 低入札価格調査のことについて、また、数値的判断基準の見直しというようなことについては所管の局長と副市長からお答えをいたしますと同時に、履行の確認体制、また、入札差金の使い方、こういうことについて所管の局長からお答えをいたしまして、私からは、コンプライアンス評価、そしてまた政策入札、このことについてお答えをいたします。 まず、コンプライアンス評価の件でございますが、技術と経営にすぐれた健全な地元業者の育成を図ることは大切でございます。制限つき一般競争入札の参加条件に地域特性を設定いたしています。地元事業者の参加機会の確保を図りますとともに、入札参加資格審査におきましては、子育て支援とか、あるいは本市との防災協定の締結等の社会的貢献について評価を行っています。さらに、災害時等協力事業所登録ということにつきましても評価項目に追加することを検討いたしたいと思っています。今後とも、経営基盤の安定した施工能力の高い地元事業者の育成につながる入札制度の改善に取り組むということでございまして、御指摘の入札ボンド制につきましても研究をしてまいりたいと、このように思っています。 政策入札でございますが、総合評価方式は、適正な価格や工事品質の確保、同時に経営にもすぐれた健全な事業者を総合的に評価をいたしまして落札者にする仕組みであります。国の総合評価方式におきましては、落札決定に当たりまして企業の地域貢献について評価する制度があることから、本市が新たに取り組む総合評価方式におきましても、落札決定の評価項目として、企業の社会的貢献度等の盛り込みを検討してまいりたいと、このように思っています。 私からは以上であります。 ○議長(宮保喜一君) 坂戸都市整備局長。     〔都市整備局長坂戸正治君登壇〕 ◎都市整備局長(坂戸正治君) 耐震改修促進計画のお尋ねにお答えいたします。今回経験いたしました2つの地震、改めて自然の怖さとこれに対する日ごろからの備えの大切さを思い知らされたところであります。目下、作業を進めています住宅等の耐震化を促す耐震改修促進計画は、市民の生命と財産を守るため、とりわけ本市の歴史あるまち並みを維持するためにも大変重要であると認識しております。現在、耐震化の現況把握、課題の整理、各種資料を収集しているところでございます。今後、庁内プロジェクトにおいて、これらを分析・整理し、パブリックコメントや専門家による検証を実施するとともに、耐震化を促進する既存補助制度の拡充を含め、今年度末までに策定を終えたいと考えています。 以上でございます。 ○議長(宮保喜一君) 横山福祉健康局長。     〔福祉健康局長横山外茂二君登壇〕 ◎福祉健康局長(横山外茂二君) 災害発生時の要援護者支援制度づくりとマップの一元化についてお尋ねがございました。本市では、地域団体や障害者団体から成る福祉防災台帳配備検討会の検討結果を受けまして、本人の同意を得られた場合にのみ台帳に登載しております。災害発生時の要援護者の支援をどのように進めればよいのか、現在、川北地区で災害時要援護者避難誘導マニュアルの作成に取り組んでいただいております。今後、本人の同意を得るための方策等について検討を深め、地域とともに有効な支援制度の構築や防災に関するマップの一元化に努めてまいります。 以上でございます。 ○議長(宮保喜一君) 出口土木部長。     〔都市整備局土木部長出口 正君登壇〕 ◎都市整備局土木部長(出口正君) 浸水想定区域図と洪水避難地図の整合性や、これらの地域における防災計画と治水対策についてお答えします。浸水想定区域図は、犀川、浅野川について100年確率の降雨による浸水区域を想定しているものであり、また、洪水避難地図は、浸水区域内の避難場所や避難経路上の危険箇所、緊急機関等を明示しまして、住民の自主避難の支援を目的として作成したものであります。地域の防災に大いに有効であると考えております。犀川、浅野川流域におけます治水対策は、河川改修や辰巳ダムの建設が必要でございまして、引き続き、早期完成を国、県に働きかけてまいります。 次に、西部クリーンセンター周辺の保古3丁目、東力町について、周辺での洪水対策についてお答えいたします。西部クリーンセンター周辺の保古3丁目、東力町などにおいて雨水管渠の整備を行うとともに、保古雨水ポンプ場が平成16年4月より運転を開始しまして、伏見川周辺の治水安全度は向上しております。今後は、降雨時の状況を考慮しながら、さらなる雨水施設の整備を検討してまいります。
    ○議長(宮保喜一君) 藤崎副市長。     〔副市長藤崎 強君登壇〕 ◎副市長(藤崎強君) 伏見川下流域や安原川流域での総合治水対策と広域的視点からの対策についてお答えいたします。都市化の進展に伴う急激な雨水流出量の増大に対応するには、河川整備を主体とした治水対策のみではなく、雨水の貯留・浸透による流出抑制が必要であると考えております。また、行政境を越えた流域全体での適正な保水・遊水機能を維持・確保し、河川への雨水流出抑制を図る対策も必要であります。河川整備と貯留・浸透等による総合治水対策が重要であると考えておりまして、現在、市においても検討を進めているところであります。総合的政策として、地下水保全策とあわせまして年度内に体系化したいと考えております。 ○議長(宮保喜一君) 古田公営企業管理者。     〔公営企業管理者古田秀一君登壇〕 ◎公営企業管理者(古田秀一君) 先月20日未明の集中豪雨による、浅野ポンプ場など城北水質管理センターの施設の冠水につきまして御質問がございました。被災当日の午前6時に、企業局災害対策本部を立ち上げるとともに、本庁担当部署との連絡をとり、午前9時には金沢市災害対策本部を設置をいたしまして、これまで早期復旧に向け懸命に作業を行ってきたところでございます。既に調査委員会を設置いたしまして、原因の究明を行うとともに、施設の安全対策などに改善すべき事項がないか調査をしておりますので、この調査結果を受けまして、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。 次に、入札制度についてのお尋ねでございますが、入札制度におきまして、公平性、統一性を確保することは当然のことと考えております。なお、企業局が発注いたしますガス・上下水道工事の一部には、高度な施工技術や特殊な機材・材料を必要とするものがございます。それらの入札につきましては、確実な施工を担保できる技術力を入札参加資格要件とする必要があると考えております。 以上でございます。 ○議長(宮保喜一君) 浜田環境局長。     〔環境局長浜田健一君登壇〕 ◎環境局長(浜田健一君) 西部クリーンセンターと新工場建設について、数点、お尋ねがございました。 まず、施設の危機管理体制の検証についてお答えをします。西部クリーンセンターは、24時間連続運転で職員が常駐していまして、大雨注意報・警報発令時には、構内の巡視点検、伏見川水位の監視、浸水危険箇所への土のうの設置など、浸水被害防止のための手順を定めています。灰ピットやごみピットのほかには地下設備は比較的少ない施設でございますので、この手順の徹底を図ることで浸水被害防止については問題はないと考えています。なお、過日、改めて手順確認のための研修を行ったところでございます。 名称変更と余熱利用方法についてお答えをします。まず、名称につきましては、平成4年4月に「清掃工場」から「クリーンセンター」に変更いたしまして、15年余り経過し、ある程度定着していますが、「クリーン・エネルギーセンター」への名称変更につきましては、余熱利用の拡大や、さらなるイメージアップを図るためとの議員御提案の趣旨を踏まえまして、竣工時に合わせて検討してみたいと存じます。余熱利用に関しましては、新センターは循環型社会の形成を推進するための熱回収施設と位置づけていまして、地球温暖化防止の観点からも、できるだけ効率的に熱を回収し、有効利用を図っていく方針でございます。具体的には、ごみ発電の出力を大幅にアップし5,000キロワット程度とする計画でございまして、西部市民体育会館や市民憩いの家への熱源供給を継続いたしますほか、新たに西部水質管理センターの下水汚泥の乾燥熱源とすることも検討中でございます。 次に、建設予定地にあるソフトボール場の代替施設と新工場建設工事のスケジュールについてお答えします。来年度、新工場の建設工事に着手する予定でございます。準備期間等を考慮いたしますと、現在のソフトボール場は、平成20年の10月ごろまでは使用できるものと考えています。新工場は平成24年3月の竣工を予定していまして、既存施設は平成24年度から解体する計画です。現在のところ、住民の皆様の意向を踏まえまして、この跡地に代替施設としてのソフトボール場を整備することといたしております。なお、この間につきましては、暫定的な代替施設といたしまして、保古雨水ポンプ場横の広場をソフトボールの練習程度ができるように整備したいと考えています。 以上であります。 ○議長(宮保喜一君) 武村総務局長。     〔総務局長武村昇治君登壇〕 ◎総務局長(武村昇治君) 低入札調査に関しまして、調査対象となる入札がふえている、こうした事態、そして制度についてのお答えをさせていただきます。事業者の方々からのお話を踏まえますと、低入札価格調査対象工事がふえた主な理由といたしましては、国、県、市ともに公共事業が減少する中、この冬の暖冬の影響もございまして、年度初めの手持ち工事が極端に少なかったことなどから、受注競争が高まったものと考えております。調査対象件数も、やや減少の傾向にございますので、まずは今後の推移を注意深く見守ってまいりたいと考えております。この低入札価格調査制度でございますが、工事の品質や安全施工等の確保を図るためのものでございますので、この厳格な運用を行いまして、適正な工事の履行に努めてまいりたいと考えております。 続きまして、低入札価格調査実施工事について、履行体制をどうとっているのか、また、今後の対応策についてお答えをさせていただきます。低入札価格調査実施工事の履行に当たりましては、実施要領等をつくっておりまして、これに基づき、監督員は現場で工事工程ごとの確認等を入念に行うこととしておりますし、検査員は工事現場の立入調査を最低2回以上行い、監理技術者の専任や施工体制について確認を行うなど、工事の適正履行の確保に向けた管理監督・検査体制をとっているところでございます。今後とも履行確認の体制強化が大切でございますので、低入札価格調査実施工事の中間評定に当たりましては、通常、評定者2名体制でございますが、これに加えまして、工事の所管課長も評定に加わり、3名体制といたしまして評定を厳格に実施する、そういったことを行うとともに、加えまして、工事所管課長を対象といたしまして、履行確認強化を図るための研修を始めるなど、こうした業務に携わる技術職員の専門能力の向上にも努めていくことといたしております。 最後に、入札差金の有効活用についてお答えをさせていただきます。本市では、今年度、庁内に「道路橋りょう等再生計画検討会」を設置いたしまして、土木施設の延命化を効率的に図るための維持補修の基本方針、これを策定するとともに、当初予算で公共施設維持補修基金を積み増しいたしましたし、今回の補正予算においても、まちなか施設状況調査に基づきます緊急修繕枠を追加するなど、計画的に、かつ効率的に公共事業の質の向上や補修に努めているところでございます。入札差金の充当につきましては、年度内の追加財政需要も見きわめまして、緊急を要するものがあれば検討してまいります。 以上でございます。 ○議長(宮保喜一君) 須野原副市長。     〔副市長須野原 雄君登壇〕 ◎副市長(須野原雄君) 入札制度に関する御質問で2点お答えをいたします。 まず、低入札価格調査の体制についてでありますが、実施要領等に基づき、適正な施工水準を満たした者を対象にしまして、関係課の技術職員でチームを組んで、工事資料の確認でありますとか詳細な事情聴取を行うなど、履行確保のための調査を入念に実施しているところであります。なお、これに係る数値的判断基準につきましては、先般の入札制度評価委員会で、管理費より現場の工事費に重点を置くべきとの御意見をいただいていることから、国や他の自治体の事例を十分見きわめた上で、見直しを検討してまいりたいと考えています。 次に、総合評価方式の試行の拡大と導入についてでありますが、工事の品質確保や、技術・経営などですぐれた地元事業者を育成する観点からも導入の検討をしているところでありまして、今年度の下半期に幾つか試行し、検証を行うことにしております。これらを踏まえ、次年度以降、取り組みを進めてまいりたいと考えているところであります。 以上でございます。 ○議長(宮保喜一君) 26番田中仁君。     〔26番田中 仁君登壇〕     (拍手) ◆26番(田中仁君) 発言の機会を得ましたので、会派市民の一員として、以下、数点についてお伺いをいたします。 質問の第1は、過日発生した集中豪雨に関してであります。8月20日未明に発生した局地的な集中豪雨は、人的被害はなかったものの、住宅や車両に浸水被害をもたらしました。その中で最も深刻であったのは、本市中心部の約202ヘクタールから流入する雨水排水を担う浅野雨水ポンプ場が、冠水による機能停止という被害をこうむったことだと言えます。建設に際して想定した数値をはるかに超える雨量がもたらした被害であったことから、原因究明と改善策の検討を行うため、専門家による調査委員会を設置し、その答申を受け、市としての対策を講じるとのことでありますが、検討される課題と今後の対応をお尋ねするとともに、抜本的な改善策が講じられる間の対策についてもお伺いいたします。 なお、市内には七ツ屋ポンプ場、高畠雨水ポンプ場、戸板雨水ポンプ場、古府雨水ポンプ場、保古雨水ポンプ場、湊雨水ポンプ場などがありますが、今回と同じように冠水のおそれがないのかと不安を持ちますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。あわせて、市民の安全・安心を守るため、想定外の危機管理のあり方に言及する向きもありますが、言うはやすく行うはかたしとの思いを持ちつつ、今回の事例からどのような教訓を得、今後に生かしていかれようとするのか、市長の御所見をお伺いいたします。 今回の大雨は、神宮寺町会に住宅の床上・床下浸水、車両106台の浸水と、集中して被害をもたらしました。さきに述べた調査委員会は、神宮寺地内の溢水の原因究明を行うことも目的としていることから、被害者への対応は、この調査委員会の答申を待つことになると思いますが、自然災害に際しての被害者への基本的な考え方と今回の事例に対する対応についてお尋ねいたします。 一方、市道地下道の中で、疋田交差地下道、金腐川交差地下道、浅野町交差地下道、神野交差地下道などが冠水をしています。それぞれに周辺の立地環境が異なるものと考えますが、排水ポンプの能力が都市化された今日の雨水の流れに対応し切れているのか、また、排水路の容量が十分確保される形状なのか、落雷に対する備えはどうかなどについて検討し、見直す必要があるのではとの思いから、これらについてのお考えをお尋ねいたします。 また、交差地下道の異常を知らせる手だてとして、電光表示を設置しているのは、神田交差地下道、米泉交差地下道の2カ所のみとなっており、利用者の安全を守るためには、主要地下道や危険度合いの高い地下道に電光表示板設置による周知方法が、より効果的であると考えますが、整備に向けての御所見をお伺いいたします。 質問の第2は、まちの魅力づくりに関してであります。 その1つは、世界遺産暫定一覧表登録に向けた取り組みについてであります。本市が提案した「城下町金沢の文化遺産群と文化的景観」は継続審議とされ、その際、本市に関する個別課題が提示されました。その対応として、類似した提案との比較と主題の明確化、文化財と文化的景観指定の推進、啓発広報活動の推進などを掲げ、その具体化のため、世界遺産登録推進施策費として、48事業、4億5,700万円余の当初予算を計上し、取り組みを進めているのは各位も御承知のとおりであります。そこで、さきに述べました今後の対応として挙げた点について、現時点でどの程度進捗しているのかお尋ねをし、提案書の締め切りが12月末という日程を逆算すると、今後、どのようなスケジュールで、何をポイントにして取り組まれていくのかお伺いをいたします。 ところで、本市には、歴史的まち並みの保存施策として、東山ひがし地区が国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けているほか、主計町地区を市の保存地区に指定する一方、こまちなみ保存条例を初めとする関連条例を制定し、取り組みを進めてこられました。そして今、新たに卯辰山山ろく寺院群地区を国選定とすべく取り組みを始められましたが、主計町地区の国指定への見通しとあわせ、これらの取り組みに寄せる市長の思いをお伺いいたします。 第2は、国土交通省が進めようとしている仮称歴史的環境形成総合支援事業への対応についてであります。本年7月、社会資本整備審議会の歴史的風土の保存・継承小委員会が開催され、11月を目途に延べ5回の小委員会で、現在指定されている10の古都以外の都市における歴史的な風土の保存継承のための法制度や事業のあり方などを検討し、12月に部会の議決をもって明年4月に答申するとしています。第1回の小委員会の添付資料には、古都保存法による対応の可能性が検討できる歴史都市として20市が列挙され、その中には金沢市も含まれており、本市は指定を受ける資格を持ち合わせた最も有力な都市の一つであるはずであります。支援事業の指定を受けたとき、どのようなメニューが提供されるのか全容が明らかになっていないものの、現行の古都保存法がスタートである限り、本市のまちづくりに大きな影響を及ぼすものであり、指定を受けるべく最大限の努力をすべきと考えます。過日、国土交通省への次年度事業要望に同行した際、山出市長は、この件に対し積極的な姿勢を示されていましたが、改めて市長の歴史的環境形成総合支援事業に対する思いと、本事業が本市のまちづくりにどのような役割を果たすと考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。 質問の第3は、金沢駅周辺の再整備に関してであります。 本年3月に金沢駅周辺まちづくり総合整備構想がまとめられました。整備構想の目的は、新幹線開業を見据えた、金沢らしさを生み出す固有の資産や、新しいまちづくりの取り組みを踏まえた金沢駅周辺における総合的かつ金沢らしい魅力的なまちづくりの方向性や、交流人口の拡大方策、周辺低未利用地の活用のあり方などを示すことにあったと記述されています。具体的な課題については、駅東についてはおおよその姿が見えてきたことから、重点が駅西に置かれているとの思いを持ちつつ、幾つかお尋ねいたします。 まず、駅西広場の再整備に当たっては、駅東広場と比較して、どのような機能と役割を持たせるのか、また、東西広場間に連環性を持たせる方策についてどのように考えておられるのか、今後のスケジュールとあわせお尋ねいたします。なお、駅西ブロックのにぎわいと活力のある商業業務環境の創出に当たり、基幹となる施設の誘致、立地を図るとしていますが、ここでいう基幹となる施設とはどのようなものをイメージしておられるのかお聞かせください。 次に、市有地の活用に当たっては、金沢の玄関口にふさわしい空間の創出を図るため、駅西広場の再整備、にぎわい、交流の場などで活用方策を検討するとしていますが、今の駅西広場に隣接する暫定駐車場の一部が地区計画から除かれており、ここでいう活用策とは関連しないのかどうか、お尋ねをいたします。 さらに、金沢駅周辺の良好な景観形成については、新幹線駅舎周辺にふさわしい風格のある景観とするため、都市景観形成基本計画の見直しや、景観法の活用を検討するとしていますが、まず、現時点での景観をどのように評価しておられるのかお伺いをいたします。その上で、今後の対応が必要と判断されるとすれば、どのようなものを考えておられるのか、今後のスケジュールとあわせお聞かせください。 質問の第4は、中央卸売市場に関してであります。 本市の中央卸売市場は、昭和41年に開設されて以来、金沢独自の豊かな食文化を担う食の拠点として重要な役割を担ってきました。そして、今後とも、金沢流通圏内だけにとどまらず、広域流通圏を視野に入れて、中核市場としての位置づけと役割が求められています。しかし一方で、平成3年ごろをピークに、全国的に中央卸売市場の取扱量や取扱高が減少している中、本市場も同様の推移をたどっているとお聞きをしています。そこで、本市場を取り巻く流通環境はどのように変化をし、現在どのような環境に置かれているのか、あわせて、市場の活性化に向けた今日までの取り組みについて、まずお伺いいたします。 一方、国の第8次中央卸売市場整備計画に呼応し、本市場でも再整備事業の具現化に向け、平成15年に基本構想を取りまとめ、平成18年には基本計画を策定するなど、取り組みが進められてきました。しかし、ここに来て、取扱量や取扱高の減少、全国的な卸売市場の動向や国の動向などを踏まえ、新たに検討を加えなければならない事項が生じてきたと伺っています。そこで、今日までの再整備計画の進捗状況をお尋ねするとともに、今後どのような視点から取り組みを進められるのか、その見通しとあわせお尋ねいたします。なお、検討に際し、事業者の体力を考慮しての負担のあり方、家賃などを含めた日々の営業に関する不安などを取り除き、理解を得るための対応が不可欠と考えますが、具体的な対応策についてもお伺いいたします。 他方、今後の卸売市場の存立にもかかわる問題として、市場における委託手数料の弾力化があります。これは、市場の規制緩和という方針のもと、平成16年に卸売市場法が改正され、平成21年4月から実施されることになります。市場の規制緩和という心地よい響きとは裏腹に、この対応を誤れば、本市場の死活問題にも発展するおそれのある課題であります。今後どのように取り組みを進めていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 質問の第5は、公共交通の活性化に関してであります。 本市は、本年3月に新金沢交通戦略を策定するとともに、金沢市における公共交通の利用の促進に関する条例を制定し、歩行者・公共交通優先のまちづくりを進めるため、新たなチャレンジを始められました。そこで、新金沢交通戦略の主たる取り組み状況はどのようになっているのか、今後の見通しを含め、お聞かせをいただくとともに、最も困難な課題になると想定されているものがあれば、お示しをいただきたいと思います。 市長は、提案説明の中で、市民の公共交通に関する意識啓発の重要性を指摘されていましたが、このことを踏まえた上で、マイカーの流入を物理的に抑制する方策が合わせられれば、成果を得るテンポも速まるのではないかと考えます。パーク・アンド・バスライドやバスレーンの取り組みなどを通じ、今後とり得る対策にどのようなものがあると考えておられるのか、率直な思いをお聞かせいただければと存じます。 一方、この取り組みに欠かせないのがバス事業者の理解と協力であるのは、言をまたないところでありますが、残念ながら100円均一バスの試行実施に当たり、市当局とバス事業者の間で認識のずれがあり、結果として双方の溝が深まったとマスコミ等が報道しております。今後、公共交通をもっと使いやすくするために、料金の見直しなどを交通事業者に働きかけていく方針がある中で、これからの対応をどのように進めていかれるのか、市長の御所見をお伺いいたします。 質問の第6は、教育に関してであります。 国は、本年6月に教育三法と言われる学校教育法、教育職員免許法及び教育公務員特例法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律を改正しました。これらの法律は、一部を除き平成20年4月1日に施行されることから、金沢市教育委員会の権限にかかわる事項について、幾つかお尋ねいたします。 まず、学校教育法による学校評価と情報提供に関する規定の整備では、1つには、学校は、学校評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図ることにより教育水準の向上に努める、2つに、学校は、保護者などとの連携協力を推進するため、学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するとしています。本市では、現在も保護者アンケートなどを実施し、地域や保護者の声を教育活動に反映している学校もあるとお聞きをしていますが、その取り組みの内容と市教委としての評価をお伺いするとともに、改めて、法改正の趣旨を今後どのように生かしていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の、教育における地方分権の推進に関してお尋ねします。 その1つは、教育委員数が弾力化され、教育委員への保護者の選任が義務化となったことであります。本市では、それぞれに任期が違う5人の教育委員がおられますが、選任を義務化された保護者をいつから委員として迎えられるのか、また、委員の数をどうされるのか、条例制定の考え方とあわせ、お尋ねいたします。 2つに、法改正では、文化・スポーツの事務について首長が担当できることとなりましたが、本市では、地方自治法に基づき、教育委員会事務の補助執行に関する規則を定め、文化・スポーツに関する事務を市長部局の職員に補助執行させ、それぞれに成果を上げておられます。この際、法改正に基づく条例を制定して、執行体制を実態に合わせておくことが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。 3つに、県費負担職員の転任については、市町村教育委員会の内申に基づき、都道府県教育委員会が行うとの条文が新たに加えられました。この「内申に基づき」の一文を読む限り、人事に対して本市教育委員会の意思が大きく反映されるのでは、との期待を持ちましたが、残念ながら、条文の中には都道府県教育委員会の権限を従来どおり認めたただし書きが残されており、何のための改正だったのか理解に苦しむところであります。とりわけ、本市教育委員会への人事権の移譲をかたくなに拒み続けている石川県教委が、今後とも、ただし書きありきの人事を続けていくことが目に見えるようであります。そこで、現行の「内申をまって」と新たに追加された「内申に基づき」の違いはどこにあるのか、また、法の解釈がどのように生かされるべきとお考えかお尋ねするとともに、あわせて、今後の人事のあり方について教育長にお伺いし、質問を終わります。     (拍手) ○議長(宮保喜一君) 山出市長。     〔市長山出 保君登壇〕 ◎市長(山出保君) 26番田中議員にお答えをいたします。 過日の集中豪雨に伴います被害の件でございますが、公営企業管理者等所管の局長からお答えをいたしまして、私からは、今度の事例をどう市長は考えるのかというお尋ねがございました。近年、世界の各地で異常気象が見られます。我が国でも各地で局所的な集中的豪雨が頻繁に発生をしています。今回の被災を検証するためには、やはり専門家で構成する調査委員会が必要というふうに考えます。何よりも、専門的・技術的な領域が多うございまして、まずは、ここでの調査結果を待って、そして対応をすると、これが大事ではなかろうかと、このように思っておる次第でございます。地下道の冠水というようなことにつきましては所管の部長からお答えをいたします。     〔議長退席、副議長着席〕 私から、まちの魅力づくりでございますが、世界遺産登録に向けた仕事の取り組みの状況については都市政策局長からお答えをいたしますが、この説明に加えまして、私からは、ここに来て「文化的景観」という、そういう言葉が使われるようになりました。この概念は比較的新しい概念でございます。「景観」という言葉を入れるわけでございますので、景観とはランドスケープ、広がりを持った外的環境ということになると思うのでありますが、これと金沢の文化とのかかわりとか市民との生活のかかわり、こういうことをしっかりと論証していかなければいけないし、今申し上げた外的環境と文化とか生活とのかかわりをどのように説明し特色づけていくのか、そのためのストーリーをつくる、ストーリーをつくるためのテクニック、こんなことが大変難しい課題になるということを私自身つくづく思っていまして、そういう意味で、専門家の御意見も必要だというふうに思いまして、今いただいておるところでございます。努力をしていきたい、このように思っています。 そこで、歴史的まち並みの保存施策でございますが、主計町につきましては、現在、市の伝統的建造物群保存地区ということになっておるわけでございますが、文化庁とも協議を重ねまして、早期に国指定に持っていきたいと、このように思っています。「歴史に責任を持つべきまちだ」ということはかねがね申し上げてまいりました。歴史的なまち並みでありますとか建造物を次の世に伝えていくということは、本市にとりまして、また日本にとっても大事なことだと、このように思っておりまして、伝統的建造物群保存地区の指定等によって保存・継承に努めていきたいと、こう思っておる次第でございます。 今度、国交省の方で、歴史的環境形成総合支援事業というものが言われています。このことについてお尋ねでございました。確かに、国土交通省は来年度に予算要求をしておる事業でございます。歴史的環境の保全整備によるまちづくりを進めるということでございまして、わかりやすく言いますと古都保存法の修正拡大と、そういうふうに御理解をいただければ結構かなというふうに思っていますし、かねて徳田市長の時代に手を挙げた事例も本市にございますので、そうした経緯からいたしましても、私としては重視をしていきたいと、こう思っておる次第でございます。歴史的に重要な施設の復原・修復、周辺施設の整備、また、こうした施設を活用したソフト事業に支援をするという仕組みでございまして、この仕組みができますれば、本市固有の歴史的環境の保全、これを生かしたまちづくりが一体になって進んでいくことになりますので、結果として、まちの魅力を高めることに裨益すると、こう思っておる次第でございます。これも努力をしたいと思います。 次に、駅周辺の再整備についてお触れでございました。金沢駅は、都心の軸線上にあるところの国際・広域交流の交通結節点、このように踏まえたいと思います。したがいまして、駅西広場の再整備に当たりましては、金沢の玄関口にふさわしいにぎわいの創出と円滑な交通機能の確保に加えまして、利用者の快適性、利便性にも配慮した広場を目指すべきだと、こう思っています。新たに、ゆとりある歩行空間を東西通路の軸線上にゆとりのある空間を配置することによりまして、もてなしドーム、それから駅のコンコース、それから駅西広場、この歩行動線に連続性と一体性を持たせてまいりたいと、こう思っています。同時にバリアフリーの徹底も図りたい、このように考えておるわけでございまして、本年度から基本設計に着手して、来年度以降、各種の設計工事を行いまして、新幹線開業に向けた整備を目指したらと、こう思っておる次第でございます。 駅周辺のまちづくり総合整備構想については所管の局長から、また、市有地の拡張についても局長からお答えし、私からは、駅周辺の景観形成についてお答えをいたします。世界都市金沢を標榜する金沢の玄関口といたしまして、景観創出の重要な地区でございます。景観条例によりますれば、近代的都市景観創出区域ということになっておるわけでございまして、かねがねこうした方針で景観誘導を図ってまいりまして、おおむね良好な景観形成がなされてきたと、このように思っています。ただ、一部の建築物でありますとか広告物に周辺の環境と調和しないものが存在していることも事実でございます。したがいまして、駅周辺のさらに良好な景観形成を図ってまいりますためには、条例の区域の拡大、それから景観形成基準の見直し、こういうことをいたしまして、平成20年度までにより具体的な景観形成基本計画をつくってまいりたいと、こう思っています。 次に、中央卸売市場についてお尋ねでございました。市場を取り巻く環境は変わってきまして、市場外流通が拡大する、外食産業が普及をしてくる、食の多様化によりまして生鮮食料品離れが起こってくる、少子高齢化に伴いまして需要が減ってくる等々、たくさんな変化が起きてきてございまして、本市場におきましても、取扱量、取扱高の減少が続いて、大変厳しい状況にあることは事実でございます。昨年、開設40周年を迎えておりまして、昨年、「市場再生元年」ということを市場の事業者と一緒に申し合わせたところでございまして、魚でありますとか野菜の地場での消費、このための啓発、こういうことに努力をいたしてまいりたいと、こう思っておる次第でございます。事態は本当に厳しいものがございまして、そういたしますと、単に施設の拡張ということでは簡単にいくまいと、こう思っておりまして、市場関係者と行政が性根を据えて努力していかなければいけない、そのように思っておる次第でございます。整備計画の進捗状況とか、あるいは委託手数料のことにつきましては産業局長からお答えをいたします。 次に、公共交通の活性化についてお触れでございまして、交通戦略の取り組み状況は都市政策局長から、私からは、マイカーの流入を抑制するために市長は今後どのような取り組みをしていくのかというお尋ねにお答えをしたいと思います。マイカーの流入抑制策といたしますと、これまで、パーク・アンド・ライド、それからバスの専用レーン、こうしたことなどを実施しておるわけでございますが、これからの対策といたしますと、歩行者専用道路、それから、一方通行の一層の拡大、こういうことなど、より実効性のある取り組みを進めてまいりたいと、こう思っています。いずれも、言うはやすく行うはかたいテーマでございますが、外回り環状道路が進行しておること、そして、温暖化、高齢化、こういうことを考えますと、まちなかでのマイカーの秩序ある運用というのがこれからの大きいテーマだと心得まして努力をするつもりでございます。 もっと公共交通を使いやすくするための努力が必要だという御指摘でありました。仰せのとおりだというふうに思っています。利用者が減少する、利便性が低下するという悪循環に公共交通が陥っていることは事実だというふうに思っています。利便性を高めて、利用者を増加させることを目指していかなければいかぬわけでございまして、このことは交通事業者の経営改善にも資するはずだと、私はそう実は思っておる次第でございます。ところが、私は、交通事業者におかれましては、まずは安全な運行管理体制を確立してほしい、このことを申し上げたいと思っています。これを踏まえました上で、新金沢交通戦略の趣旨を理解して、そして、利用者である市民の期待にこたえてくれるように、積極的に取り組んでまいりたいと、こう思っておりますし、そのような努力を、また期待をし、望んでもいきたい、こう思っておる次第でございます。 教育に関してお尋ねでございました。私からは、法律の改正に伴う教育委員の選任でございます。文部科学省では、改正法が施行されるところの来年の4月1日以降の改選期に、保護者を教育委員に任命する必要があると、このように申しています。本市では、これまでも教育、学術、文化について識見を有する方を教育委員にお願いをしておるところでございますが、さらに教育委員会を充実して、そして教育の地方分権を進めていくためには、条例を制定して教育委員の数をふやすということについて検討をしてまいりたいと、こう思っています。 もう一つ、文化・スポーツの仕事のことについてお触れでございました。この仕事はまちづくりと密接に関連しておりますので、市長が責任を持って主体的に行った方がいいという考え方からいたしまして、この仕事を市長部局で補助執行して、そしてきょうまで来ておるわけであります。この点でも、教育における分権を進めるという上からいたしまして、また、今回の法律改正の趣旨を踏まえまして、文化・スポーツに関する事務の執行体制を明確にしていくという意味から条例の改正を検討したいと、こう思っています。 以上であります。 ○副議長(上田章君) 古田公営企業管理者。     〔公営企業管理者古田秀一君登壇〕 ◎公営企業管理者(古田秀一君) 過日発生いたしました集中豪雨につきまして御質問がございました。 まず、調査委員会で検討される課題と今後の対応、そして当面の対応でございますが、今回被災を受けて設置をいたしました調査委員会では、下水処理施設の構造や処理能力など施設に関する事項、施設の運転管理体制や操作マニュアルなど運用に関する事項、さらに、当日の運転操作状況につきましても調査し、災害の原因究明を行うことになっております。今後、調査委員会から出されます答申を踏まえた上で、暫定的な対応も含めまして、必要な改善に取り組んでまいります。 次に、自然災害に係る被害者への基本的な考え方と今回の被災を受けた方々への対応でございますが、これまで、自然災害が原因である被害者に対しましては、本市に過失のない場合、原則として補償は行っておりません。今回、被害を受けた住民の方々への対応につきましては、調査委員会の結論を踏まえて判断してまいりたいと考えております。なお、地元の皆様には、乙丸町町会、神宮寺2・3丁目町会それぞれに出向きまして、浅野ポンプ場の被害状況とこれまでの復旧経過や今後の大雨対策等について説明会を行いました。今後とも、地元の皆様と十分連携を図ってまいります。 以上でございます。 ○副議長(上田章君) 坂戸都市整備局長。     〔都市整備局長坂戸正治君登壇〕 ◎都市整備局長(坂戸正治君) 高畠などの雨水ポンプ場について、冠水のおそれはないのかとのお尋ねでございます。高畠雨水ポンプ場を含む各ポンプ場は、1時間50ミリの降雨に対応できる施設となっております。また、急激な雨水流入に対応できる先行待機型ポンプの採用や雨水調整池を整備し、安全性は確保されていると考えております。今回のポンプ場の冠水を受け、直ちに高畠などすべての雨水ポンプ場の緊急点検を実施し、その安全性を確認しています。なお、今回のような基準を超える降雨への対応につきましては、調査委員会の答申の中で反映するものがあれば検討してまいりたいと考えています。 以上でございます。 ○副議長(上田章君) 出口土木部長。     〔都市整備局土木部長出口 正君登壇〕 ◎都市整備局土木部長(出口正君) 市道地下道の排水ポンプの能力が雨水の流れに対応できるか、また、排水路の容量が十分確保される形状なのか、また、落雷に対する備えはどうかについてお答えいたします。排水ポンプ及び排水路の能力につきましては、時間当たり50ミリの降雨量に対応しています。今後も、排水ポンプや排水路の適切な維持管理に努めてまいります。また、落雷が頻繁に発生するときは、パトロールを強化するなどポンプの起動に万全を期しているところであります。今後は、落雷に強い施設に改良するため、避雷器等を設置できないか検討してまいります。 次に、主要地下道に電光表示板等の設置によります周知方法がより効果的であるのではとのお尋ねでございます。万が一の地下道冠水に際しましては、地下道入り口に立入禁止看板を設置しまして注意を喚起しているところでございます。今後、交通量が多く、危険度の高い地下道につきましては、通過車両にいち早く注意を促すために、新たに電光表示板等の設置を検討してまいります。 以上でございます。 ○副議長(上田章君) 藤田都市政策局長。     〔都市政策局長藤田昌邦君登壇〕 ◎都市政策局長(藤田昌邦君) まず、世界遺産登録に向けた取り組みについて、提示された個別課題の現時点での進捗状況と再提案に向けたスケジュールやポイントについてお尋ねがございました。提案の主題を明確にするため、金沢の特質、優位性を研究するとともに、文化財の国指定を進めているところであります。具体的には、野田山前田家墓所は20年度、辰巳用水は21年度内の指定を目指すとともに、文化的景観の指定に向け、基礎調査に取り組んでいるところであります。さらに、世界遺産登録に向けた機運を高めるため、世界遺産セミナーや歴史的用水ファミリー探訪会を開催しております。12月末の再提案に向けて、歴史遺産保存検討委員会等の専門家から指導・助言をいただくとともに、歴史遺産調査研究室での研究を進めることとしております。提案に向けては、文化的景観を含む文化財指定の拡充を図っていくことがポイントであると考えています。世界遺産登録には課題が多く、事柄はたやすくはありませんが、歴史遺産の保全は本市の責務であると考えており、今後とも努力してまいります。 次に、金沢駅周辺の再整備に関連して、金沢駅周辺まちづくり総合整備構想において、駅西ブロックの商業業務環境の創出のため、基幹となる施設の誘致、立地を図るとしているが、どのような施設をイメージしているのかとのお尋ねですが、駅西ブロックにおきましては、新幹線などの広域交通ネットワークを生かして、例えば、ホテルや物販、オフィスなどであっても、北陸全体を視野に入れた広域業務機能や商業機能の核となる施設が立地されることが望ましいと考えております。 次に、市有地の活用に当たって、駅西広場に隣接する暫定駐車場の一部が地区計画から除かれているが、これも含めて活用すべきと考えるがどうかとの御質問ですが、仰せのとおり、暫定駐車場の一部は金沢駅西地区の地区計画には含まれておりませんが、金沢駅周辺まちづくり総合整備構想の策定エリア内にありまして、駅周辺の整備と一体で考えていかなければならないと思っております。 最後に、公共交通の活性化に関連して、新金沢交通戦略の主たる取り組みの状況はどうか、また、困難な課題になると想定されるものは何かとのお尋ねでございます。新金沢交通戦略の主たる取り組みのうち、料金低減の取り組みにつきましては、金沢大学周辺での100円バスの利用者が大幅に増加しており、また、この9月からは東金沢駅周辺の100円バス運行実験を実施しております。利便性向上の取り組みにつきましては、この11月から公共交通重要路線におけるバスの増便や環状バスの運行実験などを行うこととしております。最も困難な課題としては、市民一人一人が過度にマイカーに依存した生活を改め、公共交通を利用するよう転換を図ることであるというふうに考えてございます。 以上でございます。 ○副議長(上田章君) 君塚産業局長。     〔産業局長君塚明宏君登壇〕 ◎産業局長(君塚明宏君) 中央卸売市場に関しまして、まず、今日までの再整備計画の進捗状況、今後の取り組みと具体的対応策についてお尋ねがございました。本市場では、再整備に向けまして、平成13年11月より、業界の方とともに再整備事業検討委員会を設置いたしまして、本市場の将来ビジョンや市場づくりの方向性などを検討して、再整備事業基本構想を平成15年6月に策定いたしました。また、平成18年6月には、配置計画、施設整備計画、管理運営計画など、ハード・ソフト面に係る「再整備事業基本計画」を策定したところであります。再整備に当たりましては、市場を取り巻く環境の変化もありまして、十分慎重でなければならないと思っております。今年度、再整備事業検討委員会の中に設備投資専門部会を新たに設置いたしまして、他の中央卸売市場の動向を見据えながら、事業規模の総額や施設使用料の額、着工時期などを検討してまいりたいと考えております。 次に、委託手数料の弾力化に対する取り組みでございますが、平成16年の卸売市場法の改正を受けまして、平成21年度から卸売業者が機能やサービスに見合った委託手数料を徴収できるようになります。手数料の設定は、集荷力や卸売業者の経営に対する影響が大変大きいことから、今年度、全国に先駆けまして、市場関係者とともに委託手数料弾力化検討委員会を設置したところでございまして、出荷者や他の中央卸売市場、関係機関からの情報収集に努めまして検討を進めてまいりたいと考えております。 以上です。 ○副議長(上田章君) 石原教育長。     〔教育長石原多賀子君登壇〕 ◎教育長(石原多賀子君) 26番田中議員にお答えいたします。 保護者アンケート等の取り組み内容と金沢市教育委員会としての評価についてお尋ねがございました。金沢市の小中学校の保護者等への外部アンケートは、小学校、中学校ともに全校で取り組まれております。評価項目につきましては、学校教育活動や授業への満足度など、各学校におきまして工夫も見られ、アンケート等の取り組みは進んでおります。信頼される開かれた学校づくりのためには、保護者アンケート等による評価はもとより、各学校が情報交換や情報公開をすることにより、学校運営や授業改善に資することが大切であると考えております。 学校評価と情報提供に関する法改正の趣旨を今後どのように生かしていくのかとのお尋ねでございました。各学校の自己評価につきましては、それぞれが責任を持って行っていくことが基本でありまして、教育委員会といたしましても、法改正の趣旨を生かして、学校自己評価や外部評価が充実するよう指導していきたいと思っております。さらに、学校と利害関係のない専門家による第三者評価の導入につきましても課題となっております。また、評価結果を積極的に情報公開していくことも必要であると考えております。 人事権につきまして、「内申をまって」と新たに追加された「内申に基づき」の違いはどこにあるのか、また、法の解釈がどのように生かされるべきと考えるかとのお尋ねでございました。内申に「基づき」という表現は、「まって」に比べ、より内申を尊重するものと一般に解されております。この法改正は、市町村教育委員会の内申権を従来より一層強化したものではございますが、同じ条文の中に、都道府県教育委員会の判断により、全県的な観点から調整を行える規定も加えられております。したがって、現実には人事権を有する都道府県教育委員会の判断と責任において教職員配置が行われることになります。石川県教育委員会においても、法改正の趣旨を踏まえ、本市の内申が尊重されるよう期待しているところでございます。 今後の人事のあり方についてお尋ねがございました。人事権のない中で、適材適所の人事配置をすることは極めて厳しいと考えております。しかし、金沢市内の学校が活性化するような人事案を作成し、法の規定に従って、任命権者である石川県教育委員会へ働きかけていきたいと思っております。 以上でございます。 ○副議長(上田章君) 32番増江啓君。     〔32番増江 啓君登壇〕     (拍手) ◆32番(増江啓君) 発言の機会を得ましたので、公明党議員会の一員として、市政の諸課題について、以下、数点お伺いをいたします。 質問の第1は、本市財政の健全化と平成20年度の予算編成についてであります。日銀金沢支店の地域経済報告によると、北陸地域の景気は、引き続き緩やかに回復しており、「設備投資は製造業を中心に前年より増加。輸出も増加傾向。住宅投資や公共投資は前年より少ないものの、個人消費は持ち直しの傾向にあり、雇用・所得面でも改善傾向で、景気は緩やかに拡大」としております。一方で、国・地方の財政状況は、社会保障費など扶助費や積年の公共投資に伴う公債費など義務的経費の増嵩により、多額の負債を抱えており、これまで経験したことのない少子高齢化社会の進展による行政需要の増加も見込まれ、引き続き大変厳しい財政環境が続いております。昨年の夕張市財政破綻という夕張ショックを受けて、この春の統一地方選挙や、さきの参院選期間中も、「金沢のまちは大丈夫なのですか」と市民の心配の声も多く寄せられました。国は、夕張ショックから早期に地方財政の健全化を図るため、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」を成立させ、平成21年度から施行させることとしました。同法は、すべての自治体に平成20年度決算から毎年4つの財政指標--実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の新たな指標の公表を義務づけることなどが骨格となっております。そして、比率が基準を超えると、財政健全化計画、財政再生計画の作成を義務づけています。堅実な財政運営を確保するためには、地方財政を市民や議会が客観性を持って監視することが必要であり、さらに、これを実効性のあるものにするためには、市民にとってわかりやすい財政情報の開示を徹底して行うことだと思います。そのため、新法には、自治体が作成した4つの財政指標を監査委員の審査に付し、その意見をつけて議会に報告・公表する義務も課されております。普通会計のフロー指標が中心だった従来の財務情報から、公営企業や第三セクターにまで及ぶこの新しい財政指標等が設定されることについて、市長はどのようにお考えなのか、まずお尋ねをしておきたいのであります。 本市は、これまで金沢市中期財政計画に基づき、財政の健全化に努めてきているところでありますが、高齢化の進展に伴って、他都市同様、扶助費などの福祉関係経費が年々増加しております。起債制限比率についても、景気対策のための市債の借り入れにより上昇し、平成14年度には10%を超え、18年度には警戒ラインの14%に近づき13%となってきております。新しく導入された財政指標である実質公債費比率においても、平成18年度は16%ということであり、安全とされる18%以下を堅持していくために、今年度は30億円、明年も20億円の繰り上げ償還を実施していくとしております。今後とも、気を緩めず、堅実な財政運営に努めていかなければなりません。そこで、平成20年度当初予算の編成に向けて、これから策定される明年度の予算編成、また、歳入歳出予算においてどのようなことに留意をされていかれるお考えかお尋ねをいたします。 質問の第2点は、ふるさと納税・地域力再生機構についてです。 先月28日に始動した安倍改造内閣は、地域間格差の拡大に対する地方からの厳しい声を踏まえ、地方重視へと大きくかじを切ったように思います。そんな中で、にわかに脚光を浴びているのが、ふるさと納税と地域力再生機構です。いずれの施策も参院選直前ににわかに浮上し、選挙対策の色合いが濃かったのですが、地方活性化の目玉政策に躍り出る勢いを見せています。そして、そのキーパーソンとなる人が、内閣改造の目玉人事として入閣した前岩手県知事の増田寛也総務大臣です。増田氏は知事時代、国と地方の行財政を見直す三位一体の改革に取り組み、国から地方への補助金を削るかわりに地方への税源移譲を求める「闘う知事会」の象徴となった人でもあります。市長も、この6月まで2期4年にわたって全国市長会の会長を務められ、三位一体改革から今日の第2期分権改革への移行期にあって、全国の市長を代表して尽力をされてこられました。佐竹秋田市長にバトンを渡された6月の全国市長会総会での退任あいさつの際にも、会場の皆さんから感謝の意を込めた大拍手が沸き起こったと聞いております。引き続き、全国市長会顧問としての立場で、地方からの転身となる増田新大臣にどのような期待をされておられるのか、まずお伺いをいたします。 次に、ふるさと納税についてです。「都会に転出した者が成長する際に地方が負担した教育や福祉のコストに対する還元の仕組みができないか、生涯を通じた受益と負担のバランスをとるべきではないか」、また、「都会で生活している納税者からも、自分が生まれ育ったふるさとに貢献をしたい」との声もあり、政府・与党は、ふるさと納税の制度創設を目指しております。言葉は余りよくないかもしれませんが、地方の税金で育って都会で納税する、こういう姿は当たり前のようにあります。介護保険も、子供たちは都会で保険料を払い、親は田舎の介護保険を使う。高齢化率の高い田舎では、介護保険料の負担は大変です。大都市に集中する税収の格差是正となると言われているこのふるさと納税は、寄附金優遇税制を拡充する方向で議論されておりますが、この仕組みについて市長はどのようにお考えか、御高説を伺いたいのであります。 一方で、国は、地域経済の活性化に向け、地域力再生機構の成立を目指しております。これは地域の中核企業や第三セクター、銀行などの一体的な再生、強化を自治体と連携して行うもので、ダイエーやカネボウなどの経営再建を担った産業再生機構のノウハウを、地方の中核となる中小企業や第三セクターなどの再生、活性化に役立てようとするものです。現段階では制度の詳細はまだ固まっていないようですが、この地域力再生機構の議論についても、どのような感想をお持ちか、あわせてお尋ねをいたします。 質問の第3点は、地域医療の充実と後期高齢者医療制度についてです。 医療は地域生活に欠くべからざるものであり、だれもが地域で必要な医療が受けられるよう、また、地域の医療に従事する者も働きがいのある医療現場となるよう、行政としても万全を期していかなければなりません。そこで、医療体制の充実のため、市立病院のあり方について伺います。幸い、本市の市立病院では、昨年4月より休診していた小児科診療が今月から再開されました。当面は常勤の医師1名ということで、外来診療のみのスタートですが、子育て世代の多くの市民が待ち望んできたものであり、大変喜ばしいことです。さらに、先日の奈良県での妊婦の胎児搬送中の死産という何とも痛ましい事故の報道に、一日も早く市立病院の休診中の産科も再開をと願うものであります。一方で、大変厳しい病院経営のあり方を見直すため設置された病院経営改善会議では、5年後に黒字転換を目指すとされておりますが、不確実な要因が山積している状況で果たして可能なのでしょうか。激変する医療環境の中で、市立病院の病院憲章に、「市民に信頼され質の高い病院を目指す」ことが掲げられておりますが、市立病院の今後のあり方や経営改善策はどうあるべきと考えておられるのか、まずお尋ねをいたします。 また、国全体の医師不足などで公立病院の経営がさらに厳しくなっているだけでなく、看護師の配置基準の見直しにより、公立・私立を問わず、まさに看護師の争奪戦の様相をなしております。現在、市立病院に派遣されている医師も、医師不足により、いつもとの病院に呼び戻されるかわかりません。そこで、医師確保策も含め、先月、第1次試験が行われた明年度の看護師受験の応募状況はどうだったのか、今後の医療関係者のマンパワー確保対策についてお尋ねをしておきます。 いよいよ来年4月から、現行の老人保健制度にかえて、75歳以上の後期高齢者の医療について後期高齢者医療制度が始まります。この制度は、高齢世代と現役世代の負担を明確化し、世代間で公平に負担するため、独立した新たな医療制度として導入されるものです。制度の運営については、県内全19市町から成る広域連合が行うこととされ、石川県後期高齢者医療広域連合がことしの2月に設立されました。市長は初代の広域連合長であり、制度の円滑な実施に向け、鋭意準備が進められていることと思いますが、医療の地域間格差の拡大も言われている昨今、県内でも能登や金沢、加賀とさまざまな医療行政の違いもあろうかと思います。現段階で懸念される課題、問題点がありましたらお聞かせください。 新制度では、保険料徴収など窓口事務は市が行い、保険料決定、賦課決定、医療の給付等は広域連合が行うことになります。厚生労働省の保険料の試算では、全国平均月額6,200円前後と算定されておりますが、超高齢社会の到来で医療費が年々増大しているとはいえ、介護保険料と合わせて月額1万円を超える額が年金から天引きされるのは、年金生活者にとっては大変厳しいものです。本県広域連合での保険料の試算額や、また、低所得者の方々の軽減策をどのようにお考えか、お尋ねをしておきます。 質問の第4点は、歴史的環境形成総合支援事業についてです。 この質問については、さきの質問と重複をいたしますので、1点だけ簡潔に伺っておきます。国土交通省では来年度、新事業として、失われつつある歴史的な環境を保全・活用したまちづくりを推進するため、歴史的に重要な施設の復原・修復や歴史的資産を生かしたまち並み形成に対する支援措置の創設を行うとしております。新事業は、古都保存法の理念や枠組みを広げ、古都以外の歴史都市を対象とするもので、歴史・文化等に根差した美しい魅力ある国土づくりと観光交流人口の拡大に資することが期待をされております。具体的には、歴史的環境保全整備計画を市が作成をして、国の認可を受けて行うことになり、新しい制度の支援メニューとしては、歴史的に重要な施設の保存・復元に係る整備や周辺施設整備のほか、施設を活用しての伝統行事などソフト事業にまで及んでおります。過日の開発協議会の中央要望の折、市長は、この国の方針を直接伺い、「そのときは金沢が一番に名乗り出たい」と意欲を示されたとお聞きしました。また、さきの提案理由の説明でも積極的な姿勢を示されております。歴史的まち並みを有する本市のような都市にとっては願ってもない制度でありますが、国の社会資本整備審議会での議論はこれからが山場であり、法制度や事業のあり方も年内中の取りまとめをめどに急ピッチで行われるようであります。現段階でどの程度の情報が届いており、既に国からの照会があったのか、この新しい手法のまちづくり支援事業を推進する上での課題と対策をどのようにお考えか、お尋ねをしておきます。 最後に、金沢21世紀美術館に関連して伺います。 この夏、何度か21世紀美術館に足を運ぶ機会がありました。夏休み期間中ということもあり、また、連日の猛暑ということも重なってか、いつ行っても館内は多くの人でにぎわっておりました。来月9日に開館丸3年を迎えます。「まちなかの公園のような美術館、美術館がまちを変える」、そんなコンセプトで誕生した21世紀美術館、開館に至るまでには多くの議論がこの議場でも交わされました。地域経済が冷え込む中、本当に美術館でいいのか、市民が身近に接することが本当にできるのだろうか、文化で本当に飯が食えるのか、現代アートは親しみにくいのではないか、そんな不安が多くの市民からも寄せられておりました。しかし、市長は、そんな不安を払拭するように、「この美術館が新しいまちのにぎわいをつくり出すのです」「本市の伝統文化にも刺激を与え、金沢の新しい文化がここから生み出されます」と熱弁を振るわれました。そして、マンパワーこそ美術館の命と初代館長にはシカゴ美術館東洋部長で大阪市立美術館の館長でもある蓑豊氏を招聘、助役にも就任され、これまでの美術館の固定概念を打ち払うような、そんな運営手腕を示してくれました。いずれまた世界を舞台にされるのかなと思ってはおりましたが、開館3年を待たずに、後を秋元新館長にゆだね、再び拠点をニューヨークに移されました。そこで、まず、来月3年を迎える美術館のこれまでをどのように総括されておられるのか、また、新館長にどのような期待をされておられるのか、お伺いをいたします。 昨年6月議会で、私は、本市金石出身の安宅弥吉・英一親子中心に、かつての安宅産業株式会社が収集した韓国・中国陶磁の世界一級の質と量を誇る安宅コレクションの金沢への里帰りを提案をさせていただきました。安宅コレクションを収蔵する大阪市立東洋陶磁美術館とも御縁があり、東洋陶磁に造詣の深い蓑前館長から意欲的な答弁があり、今議会の補正予算に展覧会開催の予算が計上され、明春開催予定の運びとなりました。現在、安宅コレクションの住友グループからの寄贈が縁で設立された大阪市立東洋陶磁美術館では、開館25周年を記念して特別展「美の求道者・安宅英一の眼-安宅コレクション」が今月いっぱいの予定で開催されております。この展覧会にちなんで、きのうは能囃子「安宅」のコンサートが同美術館で行われ、入館者は能舞台とは異なった雰囲気を親しまれたようであります。能の音楽は、大陸から伝わり日本で独自の発展を遂げました。中国・韓国陶磁とは、有形無形の違いはありますが、いわば同じ風土で生まれた芸術でもあります。本市の能楽は、加賀藩前田家が広く庶民にも奨励したことから、加賀宝生として独自の発展を遂げてきております。美術館開館のイベントでも演じられましたが、隣接する金沢能楽美術館とも連動し、この美術館で安宅コレクションの展覧会にあわせて、ぜひ多くの人に神秘にして幽玄な能の美を堪能していただければと思いますが、いかがでしょうか。 金沢21世紀美術館は2年前から、地中美術館、森美術館の3美術館共通のミュージアム・リンクパスを発行し、美術館の特性を生かしながら連携を図っていく取り組みをしてきております。香川県直島の地中美術館は、秋元館長がこの3月まで館長をされていた美術館でもあります。これまでの成果と今後の取り組みについてお伺いをいたします。 私は、これからの国際交流時代を思うと、蘇州市に現在整備が進む中国刺繍芸術館や蘇州美術館の新館、また、韓国チョンジュの国立全州博物館など、姉妹都市として交流を進めている海外の施設との連携も大切なのではないかと思います。加えて、ファッション産業都市を標榜する本市は、来月の16日から美術館をメーン会場として第2回の「ライフ&ファッション 金沢ウィーク」が開催されます。本市は、美術工芸大学と現代美術館をあわせ持つ、全国でも珍しい数少ない都市であります。学術・文化・産業のさらなる連携が、新しい産業・文化を開いていくことにもつながると考えます。美術館として、今後、具体策があればお聞かせをいただきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。     (拍手) ○副議長(上田章君) 山出市長。     〔市長山出 保君登壇〕 ◎市長(山出保君) 32番増江議員にお答えいたします。 財政の健全化と、また、明年度の予算編成についてお触れでございました。今度、国の方で新しい財政指標をつくるということになりました。この中身は、普通会計だけでありませんで、公営企業等の特別会計、それから地方の公社とか第三セクターの財政状況についても把握するということによりまして、自治体の財政状況を明らかにしようと、こういう趣旨であります。この基準を示して参考にすることで、財政が悪くなった団体に対しまして、財政の健全化とか財政再生のための計画をつくるようにと、このように国が求めるということになったわけであります。新しい指標につきましては、既に本市の中期財政計画とか、あるいは行政改革実施計画に数値目標として取り組んでございまして、絶えず検証をしていくことで財政の健全化を維持していきたいと、このように思っているわけであります。こうした財政指標を従前よりも広げたということの意義は、私はあるというふうに踏まえていまして、適切なことではなかろうかなという認識は持っています。そういう新しい指標をつくったわけでございますが、この指標に基づいて本市もしっかりと取り組んでいきたいと、こう思っていますし、それほど心配はいたしておりません。 そうしたことを踏まえて、明年度の予算編成でございますが、財政環境は確かに厳しいわけでございますので、行財政改革は取り組んでいかなければいけないと、こう思っておりますし、事業はやはり選択と集中、そして計画性、こうしたことで健全化を維持していきたいと、こう思っておりますが、一方で、堅実は大事にしなきゃなりませんけれども、まちの将来を見据えて挑戦するということも大事なことであります。新幹線の開業とか港の整備等に備えて、魅力と活力のあふれたまちづくりを進めなければいけないということがございますし、市民の皆さんの安全・安心の確保であるとか、少子高齢化が進んでまいりますので、これに対する福祉施策の拡充とか、こういう視点もきっちりと忘れないで、そして新しい施策に取り組んでいきたいと、こう思っておる次第でございます。 それから、ふるさと納税等にお触れになりまして、新しい総務大臣にどんな期待を寄せているのかというお尋ねでありました。私も、公私ともによく承知をいたしてございまして、いろいろとお声もかけていただきました。私が見る限りにおいて、誠実なお人であります。パフォーマンスのない人と、僕はこう言いたいというふうに思っていまして、岩手という東北の知事をお務めでありましたから、地方の事情にはお詳しい、こう申し上げたい、御信頼を申し上げたいというふうに思っています。ただ、国会に議席がございませんので、そういう意味で御苦労はたくさんあるだろうというふうに思います。今、地方の格差、税収格差ということが顕在化してございますし、何よりも第2期の分権改革に入っていますので、新大臣の活躍を期待したい、この思いでございます。 ふるさと納税について考えをお尋ねになりました。私は、税としての議論ということについては論理的になかなか難しいというふうに思ってまいりました。といいますのは、自分のふるさととか、納める場所を自分の意向で決める、個人の意向で決めるということは、本来、税の本質とは私は相入れないと、そう思っています。租税法律主義という原理原則があります。民主主義、そして国会の成立もここに理由があるわけでありまして、税というものは本来、個人の意思によるものではなかろうと、私はそう思っておりまして、そういう趣旨からして、寄附金としての扱い、そして、その控除ということで落ちついていくのではなかろうかなと、そういうことを思っておる次第でございます。 こういうふるさと納税が言われてきた基本のものは、都市と地方との税収格差にあるわけでございまして、この格差をどうやって是正をしていくのかというのは別の視点で議論をしていかなければいけない、私はそう実は思っております。言いかえれば、国と地方の税源配分の見直し、それから、地方税を偏在性の少ない税目構成にする、地方交付税の財源調整機能を強化する、こういう議論を進めていくことが本来だ、私はそう思っておる次第でございます。 地域再生機構の議論がなされました。御指摘の機構でございますが、地域経済の立て直しを図るための、いわば産業再生機構の地方版だと、こういふうに言われておるわけであります。地域の核になりますところの中規模企業とか第三セクターを、民間と行政が連携して再生していく仕組みとして言われておるものであります。年末には、内閣府の研究会で最終案が取りまとめられるということを聞いておるわけでありますが、この種の仕組みの実効性ということになると、果たしてどうなのだろうかなという思いが個人的にありまして、推移を見守っていきたいと、こう思っています。究極は、私はそれぞれのまちの自主的な努力によるべきしかないという思いが強くございまして、金沢市は金沢市として産業の地域集積を図って地域を元気にしていく、これが基本だと思っておる次第でございます。そういう意味で、港の整備、周辺地域への企業進出を機にして、あらゆるものづくり産業の基盤を強化していきたいと、こう思っているわけでございます。 市立病院のあり方にお触れでありました。地域の住民、診療所、それから保健・介護施設、それから高度先進医療機関、こういうものと市立病院が連携することで、患者主体の地域連携型病院、こういう言い方で地域保健医療の中心をなしていきたいと、こう思っています。そのためには、診療機関として診療機能の強化を図らなければいけませんし、特色のある診療体制をつくることが必要でございますし、急性期医療を広めていくこと、さらには、来年度から特定健診制度が実施されますので、これに伴いますところの生活習慣病の予防対策、保健指導、病気の早期発見から治療まで一貫した診療体制の機能強化、こういうことを大事にしたいと考えております。これからも市民に信頼され、良質な医療を提供し続けるには、経営収支の改善は何よりも必要でございます。個々具体の改善策につきまして、今、経営改善会議で御審議を願っていますので、この答申を踏まえて、今度は行動計画をつくっていきたいと、このように思っています。 看護師の状況等につきましては局長からお答えをいたしまして、私から、後期高齢者医療制度導入の課題についてでございます。この仕組みが実施されるわけであります。その広域連合、この区域内におきまして、医療機関の設置状況とか高齢者の人数等に差があります。この差によりまして、老人医療給付費について地域格差が生じると、こんなことがあるわけでありますが、これを同一の保険料率にするといたしますと、給付と負担の不均衡が生ずるということになります。このために、広域連合内の平均老人医療給付費に対しまして20%以上低い市町村につきましては、被保険者の保険料を最長6年間軽減するための不均一賦課を導入してもいいと、こういう措置があるわけであります。また、高齢者の健診につきましては、各市町村に実施義務があるということになっておりまして、後期高齢者医療制度では、健診は広域連合における努力義務と、こういうふうになっておるわけであります。石川県におきましては、高齢者の健診を引き続き実施できるように広域連合において検討中であります。ただ、これまで県内市町で独自に実施してきた健診もあります。これをどうするのか、これから検討すべき大事な事項だと、こう思っています。急がなければならぬ事情もございまして、一生懸命やるように督励をしているところでございます。 それから、保険料の試算額、それから低所得者の軽減策についてお尋ねでありました。今、保険料については試算中でございまして、11月末ごろまでには決めなければいけないと、こう思っています。ただ、石川県は、老人医療費が全国でも高い部類にございますために、国が示す平均額よりも高くなることが予想されると、こう申し上げます。低所得者の保険料につきましては、国民健康保険制度同様に、世帯の所得水準に応じて軽減策を講ずるということが予定されております。 歴史的環境形成総合支援事業についてお尋ねでありました。お答えは都市政策局長からいたしますが、世界遺産登録は文化庁とユネスコの仕事であります。今、御指摘になりました総合支援事業は国交省の所管であります。国交省と文化庁との間に連携がとられております。そして、いずれの分野でもこの金沢が俎上にのっておることは事実でございますので、私は、このことを大切にしたいという思いを強く持っています。事柄はそう簡単でございませんでしても、一生懸命これに取り組んでいくのが金沢のまちの責任であり、私を初め職員の責任だと、こう思っておる次第でございます。 次に、新しい美術館につきまして、開館3年の総括について考えをお尋ねになりました。子供を含めて、だれもが気軽に来てくださって、そして楽しむことができる美術館として開館して、年間約130万人、今月中に400万人になるのではなかろうかと思っています。たくさんお越しをくださることで喜ぶだけではいけませんで、絶えず心を引き締めて、そして努力をしていかなければいけないという思いでございまして、古いもの、そして新しいものを総合し、そして、まちのにぎわいをつくっていく、まちを元気にしていく、このことにこれからも取り組みたいと、こう思っておる次第でございます。 新しい館長にどんな期待を持っておるのかということであります。直島の地中美術館での経験をお持ちであります。前の館長同様に行動派館長と、私はそう踏まえたいと思っておりまして、御本人には、思い切ってやってほしいというのが私の言い方でございます。 安宅コレクションのことをお触れでございました。これまでも来館者向けにアンサンブル金沢によります演奏会等を行っておるところでございまして、安宅コレクションの開催にあわせて能を演じるということも意義のあることだと思っております。能楽美術館とも連携をして前向きに検討したいと、こう思っています。御指摘のとおり、安宅弥吉は金石の人でございます。金沢港のお隣に県の東部工業用地がございます。この用地も、もともとは安宅産業が取得された用地でございまして、安宅と金沢との関係というのは密なものがあります。コレクション展にあわせまして、安宅家の由来等もまた皆さんにお示しできたらと、こんなことを思っておりまして、このコレクション展はぜひ大事にしてみたいと、こう思っています。たくさんの人に来てほしいと、こう今から願っておる次第でございます。 ミュージアム・リンクパスのことは都市政策局長から、それから、私からは「ライフ&ファッション 金沢ウィーク」との連携のことでございます。いろいろきょうまで外国姉妹都市の美術館との連携をやってまいりまして、姉妹都市だけでありませんで、世界の都市との連携強化も図っていきたいと、こう思っています。「ライフ&ファッション 金沢ウィーク」は、これはファッションというものを産業に結びつけていく、ファッションのビジネス化を図るということがねらいでございまして、21世紀美術館を会場にするわけでございますが、これはファッションのビジネス化を図ることを主体にした仕事の一つの会場、こういうふうに受けとめていただきたいと思いますし、ファッションウィークそのものが、これがまた美術館に裨益すると、芸術・文化に裨益をする、そして、芸術・文化がまたファッションのビジネス化に影響を与えると、こういうことでありたいと思っておる次第でございます。 ○副議長(上田章君) 廣田市立病院事務局長。     〔市立病院事務局長廣田 健君登壇〕 ◎市立病院事務局長(廣田健君) 市立病院のあり方について、看護師の応募状況はどうであったのかとの御質問でありました。看護師の厳しい獲得競争に対応するため、今年度は募集期間の前倒しや拡大を行ったところであります。第1回目の募集においては8名の応募がありました。今年度の看護師の採用予定を15名程度と予定しておりますことから、再度、大学等関係機関へのPRにも心がけまして募集を行っていきたいと考えております。 次に、医師の確保を含め、医療関係者の確保対策はとの御質問でございました。今月から、念願でありました小児科医の確保ができ、診療を開始することができたところでございます。なお、産科の再開につきましては、産科医の絶対数が大変少ないことから、確保は非常に厳しい状況でありますが、引き続き大学等への働きかけをしてまいりたい、かように思っております。 また、仰せのとおり、医療は医師のみならず、医療スタッフの資質に負うところが大変大きく、金沢市立病院が市民の医療ニーズに的確にこたえ、質の高い医療を提供していくためには、優秀な人材の確保と養成は大きな課題であると思っております。今後とも、大学医局との連携強化、臨床研修医の積極的な受け入れ、認定看護師・専門看護師等への育成、各種研修の充実等、医療スタッフの確保と資質の向上に努めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(上田章君) 藤田都市政策局長。     〔都市政策局長藤田昌邦君登壇〕 ◎都市政策局長(藤田昌邦君) まず、国土交通省が来年度要求している歴史的環境形成総合支援事業につきまして、既に国から照会があったのか、また、支援事業を推進する上での課題と対策は何かとのお尋ねでございました。国土交通省から、新たな支援制度の参考とするため、金沢市独自で実施している歴史的資産の保全・活用の取り組みについて照会がございました。新たな支援制度の内容としては、歴史的に重要な施設の復原・修復、周辺施設の整備、当該施設を活用したソフト事業を総合的に支援する制度としたいと聞いております。制度の詳細が示されていないため、事業推進上の課題や対策は明らかではございませんが、積極的に情報収集に努め、制度の活用が図れるよう準備してまいります。 次に、金沢21世紀美術館に関連して、ミュージアム・リンクパスのこれまでの成果と今後の取り組みについてお尋ねがございました。ミュージアム・リンクパスで金沢21世紀美術館、地中美術館、森美術館の3館すべてを訪れた利用者は、平成17年8月の開始以来1,678人でございます。日本を代表する新しい美術館が連携し合うことの意義は大変大きいというふうに考えてございます。開始から丸2年が経過したこともありまして、このパスがさらに魅力的なものとなるよう、サービス内容を3館で話し合っていきたいと考えてございます。 以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △休憩 ○副議長(上田章君) この際、暫時休憩いたします。     午後0時29分 休憩--------------------------     午後1時22分 再開 △再開 ○副議長(上田章君) 出席議員数は、ただいまのところ39名であります。 これより、休憩前に引き続き会議を開きます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △質疑・一般質問(続き) ○副議長(上田章君) 休憩前の議事を継続して、質疑並びに一般質問を続行いたします。 29番森尾嘉昭君。     〔29番森尾嘉昭君登壇〕     (拍手) ◆29番(森尾嘉昭君) 私は、日本共産党市議員団の一人として、以下、質問いたします。 自民・公明の与党は、さきの参議院選挙で歴史的大敗となり、この結果に多くの国民は拍手を送っています。消えた年金の問題、「政治とカネ」の疑惑、相次ぐ閣僚の暴言などに国民の怒りは燃え上がりました。その根本には、自公政治・安倍内閣が進める内政外交の深刻な行き詰まりと、それへの国民の深い批判と怒りが表明されたものであります。貧困と格差を拡大し、国民には負担増ばかりを押しつける構造改革路線に「ノー」を下したものであります。そして、「戦後レジームからの脱却」を旗印にして憲法を変えようとの路線に「ノー」を突きつけたものであります。相次ぐ「政治とカネ」の疑惑、閣僚の辞任に始まる辞任ドミノと言われるほどの事態は、もはや安倍政権は民意を失い、先ほど安倍首相が辞意を表明したと報じられました。国民が自公政治にかわる新しい政治を探究する、まさに時代を迎えようとしています。市長は、こうした国民の意思、そして市民の判断をどのように受けとめられたのか伺うものです。 質問の第2に、「貧困と格差」の実態と市民の命、暮らしをどう守るのか伺います。 最近発表された厚生労働省の調査からも、格差が広がり、過去最大を更新したとのことです。賃金格差が広がるとともに、税金と社会保障で格差を是正するはずが、その貢献が弱く、格差を広げている実態が明らかにされました。収入が生活保護基準以下の世帯が全国で400万世帯と10世帯に1世帯の割合にまで広がっています。年間の収入が150万円前後という派遣やパートで働く人たちが3人に1人の割合にまで増大し、若者や女性では2人に1人の割合となっています。働いても働いても食べていけないというワーキングプアという実態が生み出されています。そして、最近大きな社会問題となっているのが、餓死、孤独死、ネットカフェ難民の実態であります。厚生労働省の調査によると、毎年100人近くが餓死しており、11年間に867人に上り、1995年以降急増していることが明らかにされました。そして、孤独死も全国各地で相次いでいます。こうした中、去る8月28日、厚生労働省が孤独死ゼロを目指し会合を開きました。また、ネットカフェ難民に関する初めての実態調査結果が公表され、全国で約5,400人に上ったとのことであります。住居を失い、インターネットカフェなどに常連的に寝泊まりするネットカフェ難民は、20代が26%、50歳代が23%です。約半数が日雇い派遣、日雇い雇用など非正規雇用で占められ、失業と無業者は約4割に達しています。若者たちだけではなく、団塊の世代にも貧困が広がり、深刻な生活実態が浮き彫りになっています。市長、こうした現状に胸を痛めませんか。市長、孤独死やネットカフェ難民の実態を調査され、その対策を講じていくことを強く求めるものであります。市長の見解を伺うものです。対応する部局から、本市における市営住宅、ひとり暮らし、生活保護世帯での孤独死の実情を明らかにしていただきたいと思います。 次に、生活保護行政についてであります。私ども市議員団は、去る9月3日上京し、厚生労働省社会援護局保護課の担当者とお会いし、見解を伺うとともに、私どもの申し入れも行ってきました。 1つは、特別控除についてであります。本市は、ことし6月まで、生活保護の収入認定を行う際に、勤労に伴う必要経費として特別控除年間13万7,300円がありながら、ボーナスのあるときだけ実施してきました。この誤りを正し、さかのぼって実施するよう求めたところ、法に基づいて対応してきた、国の基準があいまいだからと責任を国に転嫁する対応ぶりであります。市長も「国の基準があいまいで、自治体によって異なる判断がされている。国に明確な基準を改めていくことを求めていきたい」と述べました。そこで、特別控除について厚生労働省の見解を伺いました。法とこれまでの局長通知などで特別控除についての見解は明確であること。勤労の実情に応じて、1回で実施するのか数回に分けて実施するのか、基準額1.3倍まで行うのか、それぞれ自治体の裁量であること。ボーナスのあるときだけ実施するという本市の対応は機械的であるとの判断を明らかにしました。国基準があいまいだと意見が寄せられたことがあるのかとただしたところ、「聞いておりません」とのことでした。市長、特別控除について法の趣旨を正しく理解し、対応すべきではありませんか。見解を伺うものです。担当する局長に、本市では、その後どのような改善を行ったのか、対象者にどのように理解を求めたのか明らかにしていただきたいと思います。 第2に、生活保護申請書を窓口に置き、申請書に基づき保護申請の対応を行うよう改善を求めました。本市では、生活保護の窓口を訪ね相談された方が昨年1年間で1,157人です。これに対して、生活保護申請に及んだのは333人です。7割を超える800人以上の方が相談で帰されています。一方、申請し、法の基準に基づいて審査したが、生活保護開始を却下するというのは年間わずか7件です。生活保護の窓口では相談で処理し、話を聞いて、これは生活保護でやむを得ないと判断できるものだけ申請させるということになっていませんか。厚生労働省は、保護申請の意思があれば、その権利を阻害してはならないとの見解を明らかにしました。本市の現場での対応の改善を求めるものです。見解を伺います。 第3に、生活保護の辞退届についてです。本市では、昨年1年間に保護の廃止は249件です。そのうち辞退届は118件です。半数近くに上っています。北九州市で52歳の男性が辞退届を書かされ、保護が廃止。その3カ月後に餓死しているのが発見されました。この問題で弁護士らが、受給辞退を強制し保護を打ち切ったとして、市の福祉事務所長を公務員職権乱用などの容疑で告発しました。厚生労働省は、本市では廃止の必要のない者まで辞退届が提出されているのではないか、辞退届を強制することがあってはならない、思い込ませることも無効であるとの見解を明らかにしました。6日には、都道府県・政令市の担当者を集め、受給辞退の強要禁止など改めて指導したと報じられました。市長、生活保護行政の現場で人権と法が尊重されるよう、改善を強く求めるものです。見解を伺います。 質問の第3に、地震対策についてであります。 能登半島地震、新潟県中越沖地震と大きな地震災害が相次いで発生しています。北海道の日本海沿岸から近畿地方へと一本の帯のように伸びる領域が今注目されています。マグニチュード7から8の大きな地震が発生している「地震の巣」と呼ばれるひずみ集中帯の存在が知られるようになったばかりです。本市で地震が起こった場合、大きな被害が想定されます。自然災害をなくすことはできませんが、被害を最小限に抑えることは政治の責任です。 そこで、伺います。第1に、本市庁舎は地震発生とともに倒壊してしまうのではないかということです。災害本部が設置され、災害対策の中心となるだけに重大です。本市庁舎は3つの建物から成っています。窓口センター、市長室のある本館、議会棟がある新館です。新館といっても建設され26年が経過しています。本館は36年、窓口センターに至っては49年、42年、35年間が経過し、いずれも旧の耐震基準の建物です。平成17年に耐震診断が実施されています。市長、その結果と今後の耐震補強対策について明らかにしていただきたいと思います。 第2に、避難所が不足するのではないかという点です。各校下ごとに小中学校、公民館が避難所となる計画です。ところが、計画では36%に当たる21校下で収容可能人数を上回る避難者が予想されます。不足数の合計は3万4,000人に上ります。どのような対策を検討されていますか。 第3に、避難所の中心となる小中学校の防災機能が極めて貧弱です。ことし8月に全国調査が実施され、その結果が公表されました。本市では、屋外利用のトイレの設置数は39校で48%、そのうち洋式トイレが設置されているのは8校にすぎません。屋内体育館のトイレ設置は61校で75%、洋式トイレの設置は21校です。防災倉庫、備蓄倉庫の設置は15校で19%、自家発電設備があるのはゼロ、防災井戸の設置は13校となっています。市長、この現状をどう受けとめますか、今後の対策とあわせて伺うものです。 第4に、保育所の耐震補強対策が極めておくれています。本市の耐震化率は33%と、中核市36都市中の下から4番目です。既に13の市立保育所、1つの県立保育所の公立保育所では耐震補強が完了しています。一方、民間の保育所の耐震化率は27.5%と全国最下位となってしまいます。市長、大規模改修の補助事業はありますが、保育所の自己資金が必要です。何らかの資金確保のための対策が必要です。見解を求めます。 質問の第4に、去る8月20日未明に発生した局地的豪雨による浸水被害対策についてであります。 この日、午前2時30分ごろ、城北水質管理センターのうち浅野ポンプ場が冠水し、その後、神宮寺1丁目付近に浸水被害が集中しました。被害は、住宅で床上浸水が1棟、床下浸水が44棟、事業所などで29棟、車両が水につかるなどの被害106台に上りました。私は、翌日、現地を回り、被害の実情を見て回りました。被害を受けた住民や事業所の方々は、「深夜だった。一気に60センチから70センチの高さに水が入ってきてびっくりした」、ある方は「どこからも浸水被害が発生し、注意するよう呼びかけがなかった」「用水のゲートが閉まっていたのではないか」「新幹線の建設で線路に集まる雨水は、全部橋脚ごとの排水管から用水に一気に集まったのではないか」など、口々に述べておられました。そこで、私は高田川の下流にある高柳にある水門を調査しました。2つ水門がありました。その1つは手動によるものでした。ここから下流には水があふれた様子はなく、逆に上流の神宮寺方面には水があふれた跡が残っていました。このゲートが影響したことは明らかであります。高田川の調査と改善が求められます。市長、浅野ポンプ場の冠水との因果関係など調査委員会の検討が待たれますが、現時点で可能な改善策が必要です。住民は、現在も家の周囲に土のうを積み、「雨が降ったら不安です」と述べておられます。市長の見解を求めるものです。 次に、城北水質管理センターのポンプ場の水没についてであります。ポンプ場が水没し、機能停止に陥るというのは前代未聞のことであります。私ども議員団は、2回にわたる現地調査、市長への緊急申し入れを行いました。今回のポンプ場の水没は、起こるべくして起こったのではないかと思いを強くしました。浅野ポンプ場では5台ある雨水ポンプが3台、浅野雨水ポンプ場では4台のうち2台しか稼働せず水没しました。この結果、浅野雨水ポンプ場では雨水・排水ポンプが機能停止し、増補幹線から流入する雨水を調整するゲートも動かず、地下30メーターにわたるポンプ場全体が水没してしまいました。この増補幹線とポンプ場の建設に230億をかけ、最新の技術が投入されたと聞いています。どうしてポンプが全面稼働することなく水没したのか、運営と管理に問題がなかったか、検討する必要があります。 このセンターの夜間管理は、昭和54年以来、民間の業者に委託していました。中央制御室には2名、焼却施設に2名が配置され、大雨洪水注意報が発令され、ポンプ場の水位が上昇して初めて職員に通報されるとのことでした。警報になると2名が増員され、職員が出動する体制となっています。ポンプ場が冠水するなど緊急事態のマニュアルはありませんでした。同一の敷地内に次々と新たな施設が集中してきました。一方、下水道部門が企業局に統合され、管理も28年間ずっと同じ民間業者に委託しているとのことであります。市長、ライフラインとして市民生活に直結する施設で今回のポンプ場水没、機能停止という事態が起こっただけに、施設の管理、運営、体制についても全面的検討を求めるものです。見解を伺います。企業局管理者に、今後の復旧の見通しと地域への説明会などの開催、局内での原因と対策をどのように進めるのか伺うものです。 質問の最後に、粟崎地区工業用地造成事業についてであります。 大企業コマツが金沢港周辺に生産工場を建設するとして表明して以来、国、県、市が港の整備事業、道路の建設など247億円を投入して事業が行われてきました。ことし1月には新たな工場が開業したのに続き、今度は粟崎地区に進出するとして、本市が保安林を解除し、1万本近くのアカシアの林を根こそぎ伐採し、20億円を投入して工業用地造成事業を行っています。先日、私ども議員団が現地調査をし、驚きました。用地と用地を結ぶ連絡橋が建設されているのです。かつて大浜工業団地として造成しながら、1社も来ることなくゴルフ場に身売りしたそのクラブハウスに直結する県道を挟む形で今度の工業用地が造成されています。道路を横断しなければならないので橋を建設するというのです。まさに、「コマツ橋」とでも言うのでしょうか。県が6,000万円を投じて建設しています。もう1つは、今議会に議案として提出されている追加補正3,800万円の追加工事についてです。説明によれば、粘土質の土砂が見つかり、砂地と入れかえるためとのことです。移動する土砂は4万立米、大型ダンプ7,300台に上るとのことです。ちょうど連絡橋の沿線とトラック会館側の市道に沿った角地に当たります。そんなことは最初からわかっていたのじゃないか、今になって3,800万円を投入して大量の土砂を入れかえるというのはどういうことなのか、ここは工業用地として適地ではなかったのではないか。問題点が浮かび上がってきました。市長、コマツという大企業1社のために追加補正3,800万円は税金のむだ遣いではありませんか。納得できる説明を求めるものであります。 そしてもう1つが、伐採したアカシアの木をうずたかく野積みしてあります。処分に困って敷地内利用というのではありませんか。市長、さきの議会でも、私は、どこまで大企業コマツのために利便を図るおつもりかとただしました。1月完成した工場に対して、本市は3億円の助成金を支払うとしました。今度の工場にも3億円を支払うつもりですか。そして、敷地内の緑化をするとして300万円の助成金まで考えているのですか。保安林を解除して、アカシアの林を伐採し工業用地を造成、そして、建設される工場の敷地が緑化されるからと300万円の助成をするというのは余りではありませんか。住民は怒り心頭です。市長の見解を伺いまして、私の質問を終わります。     (拍手) ○副議長(上田章君) 山出市長。     〔市長山出 保君登壇〕 ◎市長(山出保君) 29番森尾議員にお答えをいたします。 まず、参議院選挙の結果をどう受けとめるかという御趣旨でございました。私なりに、地方の疲弊、年金への不安、こういうものが大きく影響したのではなかろうかというふうに想定をいたしております。だといたしますと、地方として何をなすべきかということが大事になるわけでございまして、私は、活力のある地域経済の確立、そして、安心のできる社会保障制度の充実、この2つに努力をしなければいけないなと、そのように思っておる次第でございます。 孤独死の実態とかネットカフェ難民の実態につきましては所管の局長からお答えをし、私からは、生活保護行政につきまして、特別控除の扱いについての私の見解をお尋ねになりました。特別控除に関しましては、国の通知等に従って実施してきたところでございますが、近年の雇用の形態の変化等を考慮いたしまして、ことしからその取り扱いを変更したものでございます。今後とも制度の趣旨に沿って運用してまいりたいと、このように思っております。細部につきましては所管の局長からお答えをいたします。     〔副議長退席、議長着席〕 次に、地震対策についてお尋ねでございまして、平成17年度の庁舎の耐震診断調査の結果については所管の局長からお答えをし、私からは、避難所の数のことをお尋ねでございましたので、それにお答えをいたします。地域防災計画では、金沢市全域における人的被害のうち、震災直後の短期避難者を約19万人と予測いたしております。これに対する屋内避難施設の収容可能人数は、総計で言いますと22万人という計算でございまして、市全体といたしますれば短期避難者の収容は可能と、このように踏まえております。ただ、校下単位に申しますと一部不足するところもあるわけでありますので、隣接する校下の指定避難施設、また、国や県の公共施設等を利用することで対応が可能であると考えております。関係機関に協力を求めていきたいと、このように思います。また、新たに災害時等協力事業所登録制度も創設されたことでございますので、避難所としての事業所の活用についても協力を得ていきたい、このように思っております。 指定避難場所となってございます小中学校の防災機能のことについては所管の局長からお答えをし、私は保育所の耐震補強であります。この現状と支援策をお尋ねになりました。本市には昭和56年以前の旧耐震設計基準で建てられた保育所が多くございまして、耐震化率は高くはありません。したがいまして、まずは耐震診断を積極的に進めてまいりまして、耐震診断の実施率は全国的には高い水準にあるわけでございます。そこで、耐震補強を推進していくための方策でございますが、昨年6月に設置いたしました「少子化時代における保育所運営検討会」におきまして、施設整備のあり方とあわせて検討をしていただく予定でございます。 次に、城北水質管理センターの浸水被害のことにお触れでございました。高田川溢水の原因等については土木部長からお答えをし、私に対して、下水道の仕事を企業局に統合するなどして、むしろ運営体制に問題があったのではなかろうかというお尋ねでございました。下水道部と企業局の統合は、市民サービスのより一層の向上、また効率的な経営というものを念頭に置きまして実施したものでございます。また、下水道事業の業務拡大に際しましては、適時適切な運営体制を整えてきたわけでございまして、今回の被災と事業の運営体制が関連しているというふうには必ずしも思っておりません。 復旧の見通し等については公営企業管理者からお答えをいたします。 次に、今度の追加補正予算に関連いたしまして、粟崎地区工業用地造成のことにお触れでございました。この場所は、港の利用促進、産業集積の観点からいたしまして必要不可欠な工場適地というふうに思っております。ここに世界的な機械メーカーのコマツが立地するわけでございまして、このことは、関連企業への発注など地域経済、また雇用への影響、これははかり知れないものがあるというふうに思っております。企業の立地基盤の整備は、本市の責務でございまして、粘性土をすべて除去して、そして地質の均一化を図ることは、工業用地造成のためには必要なことと、このように思っておる次第でございます。 現場に積まれておるニセアカシアについてのお尋ねがございました。当初の予定では、伐採したニセアカシアは外部の処理施設へ搬出して処分するということにしていたわけでございますが、現場内で破砕した上で、そして、種子と混合してのり面に吹きつけるということによる新しい工法を取り入れた次第でございます。このことによりまして、伐採木の有効活用につながりますとともに、搬出の経費などコストの削減にもつながりますことから、よりいい方法であると、このように思っておる次第でございます。 コマツに助成した上に、さらに便宜を図るということはいかがなものかという御趣旨でございました。企業立地助成金、緑化助成金は、雇用の確保や産業の振興、それから環境の向上といった目的を達成いたしますために、条例、また要綱により定めている制度でございます。コマツの計画は、工場をつくる計画はまだ確定しておりませんけれども、申請が出てくるということになりますれば、条例、要綱の基準に従って適切に対処してまいりたいと、このように思っております。 以上であります。 ○議長(宮保喜一君) 横山福祉健康局長。     〔福祉健康局長横山外茂二君登壇〕 ◎福祉健康局長(横山外茂二君) 孤独死の実態をどの程度把握しているのか、また、どのような対策を講じているのかとのお尋ねがございました。孤独死と思われるケースは、平成18年度、市営住宅の入居者で1人、生活保護受給世帯で13人でありますが、ひとり暮らしの方の孤独死全体の数については把握しておりません。孤独死を防ぐためには、日ごろからの地域とのかかわりが大切であり、民生委員や関係機関と協力して見守り体制を築いていくことが重要と考えています。 次に、ネットカフェ難民の実態を調査し、対応をしていくべきでないかとのお尋ねがございました。市内には10店舗前後のネットカフェが営業しておりますが、そこで寝泊まりしている方の実態は把握しておりません。ネットカフェで寝泊まりしている方にはフリーターが多いと言われておりまして、それらの方に対しては、市内企業の見学やインターンシップを行い早期就職を図る、脱フリーター支援事業などの本市の制度周知に努めてまいります。 次に、生活保護の特別控除に関して、対象となる方々にどのように説明し理解を求めたのかとのお尋ねがございました。収入申告のありました143人の方全員に取り扱いの変更に関する案内文と支給金額を記載した保護決定通知書をお送りいたしました。また、ケースワーカーが居宅訪問した際に、制度の内容を十分説明し御理解を求めております。 次に、生活保護の申請書を窓口に置き、申請の意思のある方すべてに申請していただけるよう運用を改めるべきではないかとのお尋ねがございました。申請を希望された方には、「生活保護のしおり」を添えて申請書をお渡ししております。窓口に来られた方はそれぞれ事情が異なることから、まず、その方の立場に立って懇切丁寧な相談に努めております。 次に、生活保護辞退届を無理やり書かせているようなことはないかとのお尋ねがございました。本市では、被保護者の収入、支出その他生計の状況について変動があったときには、「生活保護に関する届出書」により届け出してもらっております。これまで、生活保護を無理に辞退させたり、届出書の提出を強要したことはございません。 以上でございます。 ○議長(宮保喜一君) 武村総務局長。     〔総務局長武村昇治君登壇〕 ◎総務局長(武村昇治君) 庁舎の耐震診断調査結果とその対応についてお答えをさせていただきます。平成17年度に行いました市庁舎の耐震診断調査では、窓口センターは震度5弱、本館・新館は震度5強から6弱で被害が想定されるということでございました。耐震改修に当たりましては、財政事情や、市民が日常的に利用する市庁舎の機能あるいは役割をどのようにして確保していくか、こういったことにつきましても検討が必要であると考えておりまして、平成18年度から庁内の関係職員から成ります検討チームを立ち上げまして、現状の把握、耐震補強の工法や改修に伴います代替施設の確保、こういったことにつきまして総合的に検討を進めておりまして、今年度内に基本的方針を取りまとめたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(宮保喜一君) 東元市民局長。     〔市民局長東元秀明君登壇〕 ◎市民局長(東元秀明君) 指定避難場所となっている小中学校の防災機能が不足していると考えるが、今後どのようにしていくのかとの質問にお答えします。平成18年度に学校の協力を得て、避難所開設時に必要となる毛布、日用品セット、ブルーシートなどの防災備蓄品をすべての小中学校に配備したところであります。さらに、炊き出し用の大がま、暖房器具、小型浄水器を年次計画に従い順次配備しているところであります。加えて、避難所で必要となる資機材を地域が直接要請できる災害時等協力事業所登録制度も活用し、小中学校の防災機能の向上を図っていきたいと考えています。 以上であります。 ○議長(宮保喜一君) 出口土木部長。     〔都市整備局土木部長出口 正君登壇〕 ◎都市整備局土木部長(出口正君) 高田川が溢水した原因は何か、下流2カ所のゲートは関係しているのではないか、また、調査委員会の結論を待つまでもなく、高田川の改善を行うべきでないかとの質問にお答えいたします。神宮寺2・3丁目、乙丸町等の浸水につきましては、現在、調査委員会におきましてその原因等について調査中であり、その答申を踏まえて検討してまいります。また、ゲートにつきましても、調査委員会の答申を踏まえて検討してまいります。 ○議長(宮保喜一君) 古田公営企業管理者。     〔公営企業管理者古田秀一君登壇〕 ◎公営企業管理者(古田秀一君) 先月20日未明の大雨に関する御質問がございました。まず、冠水をいたしました施設の復旧見通しでございますが、既に浅野ポンプ場と第2水処理施設では、通常の下水処理を行っております。また、汚泥を臨海水質管理センターに搬送し代替処理を行っている汚泥施設につきましては、焼却炉を除き、今週中にすべての施設が復旧する予定でございます。そして、今月20日ごろには浅野雨水ポンプ場の2台の雨水ポンプが復旧する予定でありまして、この時点で城北水質管理センターの機能が回復する見通しでございます。 次に、被害のあった地域に、今後、説明会をすべきではないかとのお尋ねでございますが、被害のあった地域の方々には、浅野ポンプ場の被害状況とその復旧経過、そして、今後の大雨対策等につきまして説明会を開催してございます。今後とも地域の皆さんとは十分な連携を図ってまいりたい、このように考えております。 次に、企業局では今回の被害の原因究明と今後の対策をどう進めていくのかとのお尋ねがございました。今回の浸水被害の原因究明などにつきましては、極めて専門的・技術的な知識が必要であることから、水理学等の専門家で構成されている調査委員会での調査結果を受けまして、今後の対策を講じてまいります。 以上でございます。     〔「議長、29番、再質問」と呼ぶ者あり〕 ○議長(宮保喜一君) 29番森尾嘉昭君。 ◆29番(森尾嘉昭君) 市長が本当に市民のことを心配して市政の運営に当たっているかどうかというのを、私は、どうなんだと、こう思う運営が多々あります。今回の問題もしかりです。原因は調査委員会が行って検討すると、しかし、現実に被害が起こったんです。住民の方々にお見舞いの言葉をかけるとか、その原因が明らかになるまで緊急の対策をとるとか、ポンプ場の問題については大変市民の方々、また周辺の方々に御心配をかけたというくだりは最初の提案説明にもない。そして、その姿勢は企業局管理者にも、今議場で市民に向かって、本当に心配かけたんだという言葉すらない。それは市長、全体の運営にあなたのそういう姿勢が反映しているんですよ。市民のために、本当にいろんな問題については立場に立って考えますよという姿勢が貫かれていない。私はそう思うのです。 これは、改めて今回の浸水被害は原因はどこにあったか調査してやらなきゃいけない。しかし、現実的に周辺の皆さんが大変な思いをしたんですよ。いまだに「雨が降ったらどうなるかと心配だ」、きのう私が行ったら、玄関までまだ土のう積んであるんですよ。そういうことに対して心配りをしなきゃいけない。私は、その姿勢が足らないから、それぞれの市政の部署まで、本当に市民のためになってやるんだ、そういうのが貫かれない。私は、これを改めなきゃいけないと思うのです。市長、再度答弁をお願いしたいと思います。 ○議長(宮保喜一君) 山出市長。     〔市長山出 保君登壇〕 ◎市長(山出保君) 私は、森尾議員に言われる筋はない、本当にそう思っています。事件発生と同時に地元へ行っています。声はかけています。そして、機械設備の早期復旧について、東京へも行ってお願いをしています。しかし、そんなことは人には言いません。市長はそういうことを言うべきものでありません。気持ちは十分持っています。あなたに言われる筋合いはありません。     〔「議長、29番、再質問」と呼ぶ者あり〕 ○議長(宮保喜一君) 29番森尾嘉昭君。 ◆29番(森尾嘉昭君) 市長の提案説明の中で、この浸水被害に関するところには、本当に地域の皆さんに御心配かけたという言葉もありませんし、この議場の中で、企業局管理者も、対応する局長も、今度のこの議会が、ある意味では市民に向かって本当に一番メッセージを送る場じゃないですか。ならば、やっぱり御心配かけたというところから始まって、誠意を尽くしてこの問題の解決に当たりますよというメッセージを送らなければならないんですよ。ところが、午前中の議論も、私の質問にも、そういう姿勢が貫かれていないんです。そして、それは個々の問題にも反映しているんですよ。高田川の改修を急ぐべきじゃないか、今の答弁何ですか、調査委員会を待って対応するということじゃないですか。私は、今、住民の立場に立って、やれることはやって、しかるべきことをやるというのが本筋じゃないかと、この提案をしているんですよ。 それはね、個々の施策にも反映しているんです。粟崎の工業用地の問題、3億円助成しましたよ。1億、1億、1億と払うんです。今度もまた払うのか、緑地に対する300万円も払うのかと聞いたんです。基準に従ってと言うんです。私は、ここにもやっぱり周辺の住民や市民の立場に立っていない、施策を運用するのにも、これは市長、考えてもらわなきゃいけないと思うのです。これで終わりますけれども、市長、ここはしっかり市民の目線に立って、しかるべき改善を図る、そして、行うべきことは行うということが何よりも問われているんじゃないかと思うのです。 ○議長(宮保喜一君) 山出市長。     〔市長山出 保君登壇〕 ◎市長(山出保君) 私は、まずは行動でと思っています。そして、企業局の職員も夜を徹して頑張ってきました。言われる筋合いはありません。     〔「議長、30番、関連」と呼ぶ者あり〕 ○議長(宮保喜一君) 30番升きよみ君。 ◆30番(升きよみ君) 浅野ポンプ場の冠水の問題に関して、もちろん、事態が発生して以来、この間、企業局管理者を初めとして、すべての分野の職員の皆さんは夜を徹して頑張っていられることは事実でございます。そうした状況の中で、市民が不安を持ちつつ原因究明を今求めている立場から議員が発言をしているわけですが、その市民の思いを伝えていることを、まずあらかじめ御理解いただきながら、先ほどからの御答弁では、今回の問題は極めて専門性があるので調査委員会にその調査をゆだねたいということですが、少なくとも、今、みずからの行政の中でどれほどに問題があったかというチェックをもう一度進めていくと。その立場に立つときに、金沢市は、この浅野ポンプ場冠水の問題に業務委託しておりますね。民間業者に業務委託をしておりますが、この契約内容、維持管理の業務委託契約仕様書、こういったものから見ても、もう一度チェックが要ると思うのです。少なくとも、この中身の中で緊急時の措置、こういったものなどがどうであったかというのは、専門家にゆだねる以前に市当局みずからがそうしたことのチェック体制ということはいかがなっているのか。 少なくとも、何を言いたいかといいますと、企業局が民間業者に契約をして委託をしております。その委託内容から見ても、どうあったかというチェックは行政みずからができるでしょうと、そういったことをおやりになっているのかどうか。その点では、例えばここで緊急時のときにいろいろなことを言われておりますが、緊急時などを想定した訓練を年1回以上実施するものとされているのですか。どうですか。仮にそうしたことがされていないとしたら、当然こういった面からも検証が必要だと思うのです。問題は、専門家にゆだねる以前に、行政みずからの手で本当に今度の問題はどうであったかということのチェックが必要じゃないか、そして、市民の不安を本当に解消する、この立場に立って行政当局が今議会で明らかにする、この姿勢に立つことが最も大事じゃないかと、こういう思いを持って質問をさせていただきました。御答弁をお願いします。 ○議長(宮保喜一君) 山出市長。     〔市長山出 保君登壇〕 ◎市長(山出保君) 原因究明と改善案について、専門家の意見を聞いて究明し、改善案をつくっていきますと、こういうことを申し上げておるわけでありまして、何にもしないなんて一言も言っていませんし、これから一生懸命、現にやってきましたし、やっていかなきゃいけないわけでございまして、私は言葉の使い方も吟味してほしいと言いたいと思います。     〔「議長、30番、関連」と呼ぶ者あり〕 ○議長(宮保喜一君) 30番升きよみ君。 ◆30番(升きよみ君) 言葉を吟味しろということですが、先ほどからお話ししますように、専門家に調査をゆだねると、これも一つの行政のおやりになるやり方でしょう。しかし、今大事なことは、みずからの行政そのものがチェックを、この現段階でもでき得ることを最大限にすべきでないか。その意味で、私は、こうした維持管理業務に対する契約内容、仕様内容、こういったものも含めてチェックが必要じゃないか、緊急時の訓練などはやられているのかどうか、こういったこと、これは一つの例ですが、こういう立場からお聞きをしているところでございます。的確にお答えください。 ○議長(宮保喜一君) 古田公営企業管理者。     〔公営企業管理者古田秀一君登壇〕 ◎公営企業管理者(古田秀一君) 委託されております業務は日ごろ履行されております。今回起こったことは、まさに専門的・技術的なことであり、私が想定で申すことではないというふうに考えております。専門家の先生にお願いをして調査をしている、調査委員会の作業を待って対応することが極めて大事であるということを考えております。今、私どもがすべきことは、市民の方々のために施設の早期復旧に懸命に取り組むこと、こう心得ているところでございます。 ○議長(宮保喜一君) 28番森一敏君。     〔28番森 一敏君登壇〕     (拍手) ◆28番(森一敏君) 会派社民の一員として、以下、御質問いたします。 質問の第1は、国民保護計画の実施に関してであります。 8月7日から3日間、被爆62周年の長崎市を原水爆禁止世界大会に参加するために訪問いたしました。核廃絶と平和を求める国内外の人々とともに亡くなった被爆者を追悼し、被爆体験者の証言に耳を傾け、世界の核廃絶に向けて思いを新たにしてまいりました。ことしの長崎市民は、直近に起こった前久間防衛大臣発言を初め、政府の核問題への対応に、いつにも増して憤りが強く、政治家たちは被爆のすさまじさをわかっているのかと不信感をにじませておりました。それら市民の厳しい思いは、田上富久新長崎市長の平和宣言に集約されていたと思います。ところで、この長崎訪問で、4月に凶弾に倒れた伊藤一長前長崎市長が、国民保護モデル計画に示された政府の核防護対策では市民に責任を持てないとの理由から、長崎市国民保護計画から核攻撃への対処を削除していることを知りました。長崎だけではありません。最近の報道によれば、全国の策定未了市町村は、7月時点でも、唯一地上戦を経験した沖縄を中心に73、4月の消防庁まとめでも未着手が13自治体にも及んでいるとのことです。ここでも、地上戦の実態がわかっていない、計画をつくれと言われたからつくったというだけではないかと、策定自治体の判断を疑問視する声も伝えられております。法定受託事務と位置づけられているとはいえ、憲法の平和主義に立って、住民の平和のうちに生きる権利を保障しようと主体的な判断を行っている自治体が存在していることがうかがわれます。 さて、国の方針どおりに2月に国民保護計画策定を終えた本市は、来る11月17日に国民保護フォーラムを開催する予定と聞きます。本フォーラムを含め、平素からの備えと予防としての啓発活動のあり方について、以下、御質問します。 本市国民保護フォーラムは、講師として帝京大学の志方俊之教授を招き、町会連合会、消防職団員、自主防災組織、市職員、関係団体などを参加対象に行われるとお聞きします。講師に予定されている志方俊之教授は、かつて陸上自衛隊北部方面総監を務め、現在は軍事問題評論家としてたびたびブラウン管に登場しております。いわゆる北朝鮮・中国脅威論に根差して国防軍の創設を説き、敵地先制攻撃論にもちゅうちょのない、9条改憲論の急先鋒をみずから認ずる論客です。志方教授が支持した米国のイラク戦争は、今日の軍事占領までにイラク民間人65万人を超える死者を生み出したとする米英大学調査チームの新たな調査結果が公表されるなど、大義なき大量殺りくの侵略であったことが一層明らかになっております。米戦死者も3,000人を超すなど、占領は泥沼化し、今やブッシュ政権は死に体のありさまです。このように、先を見誤るような軍事優先思想のもと、イラクの脅威なるものと北朝鮮の脅威なるものを関連づけ、備えよと対テロ戦争を鼓舞し続けた志方教授は、著書「自衛隊に誇りを」で注目すべき発言を行っております。 「自衛隊は日本を守ることが任務である。しかし、実際に日本が攻撃された場合、自衛隊だけで日本を守ることができるのだろうか。残念ながらそれは無理だ。(中略)国民全体で戦わざるを得ないのである(中略)。24万人の自衛隊員がそこで屍をさらすことになる。それを見た国民が、『これは大変だ、あの若者たちだけを死なせてはならない』と、目覚めて立ち上がるまでの時間を稼ぐだけなのである。(中略)昔の言葉で言うと、『後に続くを信ず』である。その国民が、自衛隊を死なせたままで相手に降伏するというのであれば、自衛隊はそんな日本の国のために生きていても仕方がないのである」 何やら、一億総玉砕による国体護持を唱えた、かつての大本営のような言説ではありませんか。このような講師の人選は、本市の裁量によって行われたのでしょうか。また、地域住民の代表者を前に、どんな教示を期待されているのかお聞かせください。 国民の生命、財産と暮らしを万が一の武力攻撃事態から守るというのが国民保護法の目的であり、それに基づいて自治体等の役割を定めたのが国民保護計画であると、国、県、市当局は繰り返し説明してこられました。本市の主催のもと、国民総決起による国家防衛との考え方を持つ講師が講演することは、国民保護という根本趣旨と大きく矛盾し、本市「平和都市宣言」の理念から逸脱し、ひいては自治体の憲法遵守義務にも反するものではありませんか。整合性をどう考えておられますか。 地域住民のリーダーや身近な消防防災関係者が受けるべき啓発の内容とは、仮想敵国を刷り込み、軍事優先思想を振りまくことではありません。戦争の惨禍から、教訓として戦争違法化のルールを積み重ねてきた国際人道法の歴史と到達点に学び、日ごろから平和のための地域づくりを目指す意識の醸成にあると考えます。今後の啓発の中で、いかに国際人道法を学ぶのか、市当局並びに教育委員会のお考えをお聞かせ願います。 私たちは、平和運動センターとも結んで、国民保護計画に対して多面的な観点から論じ、市民の側に立った不断の見直しに資する市民公聴会の開催を求めてきました。その場が国民保護フォーラムであるならば、講師による一方的な講演ではなく、異なる立場の発言者を立ててのシンポジウム形式で行うべきだと考えます。講師の人選も含め、国民保護フォーラムを一たん白紙に戻し、そのあり方を再検討することを求めますが、見解をお聞かせ願います。 質問の第2は、志賀原子力発電所の核暴走事故に関してであります。 3月15日に、北陸電力が志賀原子力発電所1号機で発生した臨界事故を8年間にわたって隠していたことが発覚しました。各地の原発でも同様の不正報告や偽装検査、さらには東京電力柏崎刈羽原発が7月16日発生の新潟県中越沖地震で放射能漏れ事故を発生させたことなどによって、今や原子力発電の安全性に対する信頼は地に落ちております。志賀原発から直線距離で50数キロメートル地点に立地する本市は、北陸電力の株式209万4,000株を持つ第10番目の大株主でもあります。その大株主たる金沢市御当局に以下の点を申し上げ、見解をお尋ねすることとします。 さて、本年6月8日に開催された北陸電力株式会社の株主総会における年度報告書の冒頭に、「株主の皆様へ」と題する取締役の文章が掲載されております。「当社グループは、平成11年6月の志賀原子力発電所1号機の定期検査中に原子炉において臨界事故を起こすとともに、国及び自治体に報告しておりませんでした。このような重大な事故を発生させ、かつ報告していなかったことはまことに申しわけなく、深く反省し、おわび申し上げます。」これに続けて、非常事態の第一報を国に通報する仕組み、発電所情報の国等への伝送などの、隠さない、隠せない仕組みの構築、法令遵守の意識改革、そして原子力本部の志賀町への移転、金沢に地域共生本部を設置すること、社外有識者から成る再発防止対策検証委員会の設置などの対策を講じるとしました。 一方、経済産業省は、北陸電力の報告書を受けて、原子力安全・保安院が提出した制御棒引き抜け事故に関する調査報告書を根拠に、4月20日、「発電設備の総点検に関する評価と今後の対応について」を発表しました。そこでは、他の電力会社と同様に、志賀原発の臨界事故隠しは原子炉等規制法などに抵触しているとしながらも、国への報告体制の変更命令を行っただけで、運転停止命令は出しませんでした。これらに対し、原発の安全性を憂慮する各地の市民団体や原子物理学の専門家などから厳しい批判が上がっています。まず、事故の重大性の認識がない。通常の原発運転でいうところの臨界状態ではなく、制御不能の核暴走状態をいう即発臨界である。ただ、脱落した制御棒が89本中3本だけで、しかも2本は途中でとまっていたことで、15分間も続いた即発臨界が局所的なものにとどまったのは幸運と言うべきである。事故の実態を具体的に知るために最も必要な炉心出力を測定する平均出力領域モニターの記録が公開されていない。第2に、放射能汚染の懸念がある。北陸電力は、環境への放射能漏れも作業員の被曝もなかったとしている。しかし、臨界によって中性子線が照射され、核分裂による放射性ガスが発生する。定期検査中に原子炉のふたがあいている状態で起こった臨界事故であるから、環境への放射能の放出と作業員6人の被曝が危惧される。放射線放出量に関連する燃料集合体の損傷ぐあいを調べる徹底調査は行われず、日立製作所が持っているはずの事故直後の放射線管理区域の汚染測定値も公開されてはいない。第3に、構造的改善がなされていない。核燃料間に重力に逆らって制御棒を下から挿入しなければならないところに沸騰水型原発の構造上の欠陥がある。ところが、事故原因を作業員の手順ミスに求めていることから、制御機能の構造的な欠陥を、故障しても危険な事態に行かないフェイルセーフの設計に改造する事故再発防止策がとられていない。このように、北陸電力の報告をほとんど追認し、幹部の責任を不問にしたまま運転再開を容認する国、原子力安全・保安院には、もう住民の安全を任せてはおけない、次は取り返しのつかない大事故が待っていると、石川の市民団体が全国に呼びかけて、「北陸電力に原発運転の資格なし!全国署名」が展開されるに至っています。8月段階で、呼びかけ団体は21県64団体、呼びかけ人121人へと署名運動は拡大しています。加えて、原発震災への不安が高まっています。3月22日に発生した能登半島地震では、立地調査において過小評価していた断層が動き、万が一をも超える想定とされてきた限界地震を上回る加速度を記録しました。宮城沖地震を受けた東北電力女川原発、そして、中越沖地震の柏崎刈羽原発と、3つも続けて、あり得ないほど大きい想定地震を上回る地震が実際起きたことになります。当時、1・2号機とも運転を停止しており、その間に地震が発生したのがせめてもの救いでした。一昨年の2号機差しとめ判決が現実の脅威を言い当てた格好です。2000年以降、マグニチュード6前後から8に至る大地震が13回も起きるなど、地震活性期に入ったと言われる今日、原発震災への抜本的な備えとして、原発依存からの脱却が現実的な課題となっていることを申し添えておきます。 そこで、まず、第10位大株主として、本市は臨界事故隠しの問題について、どのように受けとめておられるのか、また、先般の北陸電力株主総会において、真相究明と徹底した再発防止策を求める厳しい対応を行ったのかどうかお聞かせください。 次に、運転再開には県並びに地元志賀町の合意が必要です。安全協定を無視した臨界事故隠しは、原子力防災計画の実効性をも疑わせるものです。核暴走事故が、いかに広範囲で人体に甚大な損害をもたらすものであるかは、1979年の米国スリーマイル島原発事故、1986年のチェルノブイリ原発事故、そして、あの東海村JCO臨界事故で人類史的な教訓を残しています。本市においても、市民の安全を守る立場から、国、県、地元志賀町に対し、事故実態の徹底糾明並びに抜本的な再発防止策のないままの運転再開には応じないよう要請すべきです。 北陸電力においては、夏場のピークの時点でも、原発電力以上の電気を他社に売電するほど原発施設は余剰施設となっていると言われております。さらに、今後、消費者負担も含め、使用済み核廃棄物の処理に巨額な経費が想定されています。電力の自由化で巨額な原発コストは経営上のお荷物になるとも言われています。本市として北陸電力に対し、核汚染という最悪の環境破壊を防ぐためにも、原発から撤退し、自然エネルギーの開発を強めるよう働きかけるべきだと考えます。以上について、市長の見解を求めます。 質問の第3に、市民のつぶやきから。 その1として、認知症高齢者介護施設における人権擁護について申し上げます。先日、市民の方から、認知症を患う家族が以前入所していた介護施設で、入所者のプライバシー配慮が十分ではなかったとの訴えを聞きました。その方が直接、施設側に繰り返し改善を申し入れたところ、認知症の高齢者への対応だからと見解が食い違い、預かってやっているのにと言わんばかりの印象も受けたと話されました。あの高松のグループホームの事件から、施設の劣悪な職員配置、待遇の問題、介護従事者の人権感覚、経営者の人権感覚、福祉マインドが大きな課題となりました。現場では人権に配慮した介護に努力が傾けられているものと思いますが、こうした問題は、一般には、当事者はもちろん、家族も自分から声を出しにくい立場があって、問題がなかなか外に出せない事情もうなずけます。各施設において入所者の基本的人権を守る対応が十分とられているのか、また、その把握と指導体制は万全と言えるのか、人権を尊重した介護を推進するために本市としてどう取り組みを強めるのか、お考えをお聞かせください。 第2に、地域住民と愛玩動物との共生について申し上げます。ちょうど今、改正動物愛護法に抵触するおそれのあるワニの事件が金沢発の全国ニュースとなっておりますが、以前、私は本会議の場で愛犬家のマナーの問題について質問いたしました。その後、猫の飼育放棄、住民が野良猫にえさをやることによって野良猫がふえ、家の周囲がふん尿で汚される、庭が荒らされる、車が傷つけられる、えさの食い残しがカラスを呼び、カラスのふんでまた周囲が汚されて、ほとほと困っているなどといった付近住民の相談が複数寄せられています。もちろん、飼う側の責任において適切に飼育している市民は少なくないのですが、一部に感情的なもつれが起こり、動物愛護者、愛玩動物と地域住民の共生はなかなか難しいものがあるのも現実です。そこで、まずお尋ねします。本市行政として、野良猫に係るこうした問題にどのような機動的な対応を行っているのでしょうか。 私は、こうしたマナーに絡む問題は、市民共生の場としてのパブリック--公共の意識を醸成するまちづくりを行う中で解決を図ることが望ましいと考えております。今議会で、「グッドマナー実践都市宣言」が準備されております。この問題でも全市的な地域ぐるみの一大啓発キャンペーンも必要かと思いますが、今後の取り組みをいかに構想しておられるかをお尋ねして、私の質問を終わります。ありがとうございました。     (拍手) ○議長(宮保喜一君) 山出市長。     〔市長山出 保君登壇〕 ◎市長(山出保君) 28番森議員にお答えをします。 まず、国民保護フォーラムのことでございました。人選のことについてお触れでございました。どういう人を選ぶかということについては、防災とか国民保護の両面に精通していらっしゃって、また、金沢というまちの地域特性についても承知をしていらっしゃる方、こういう方を対象にして本市において人選し、依頼をしたものでございます。金沢市出身のお方でございますし、危機管理分野の専門家でございます。国民保護を含めまして、本市の地域特性を踏まえた危機管理全般について市民の理解が深められることを期待している次第でございます。 フォーラムの開催は、「平和都市宣言」等に違反しないかという御趣旨でございました。市民の安全・安心の確保は市の重要な責務でございます。平和と安全を脅かす万が一の事態に備えまして、市の国民保護計画を策定したものでございます。フォーラムを開催しまして国民保護計画を広く市民に知っていただくことは、平和を脅かしたり、憲法のうたう恒久平和を侵すものではないと、このように思っておりまして、どうぞ御理解を願いたいと思います。「平和都市宣言」をしておる金沢でございますので、この上とも国際交流とか近隣諸国との友好関係を強める等をいたしまして平和に貢献をしていきたいと、こう思っておる次第でございます。 これからの啓発の中で、いかに国際人道法を学ぶのか考えを聞きたいということでありました。国民保護計画では、国際人道法の的確な実施をうたっております。その中で、ジュネーブ諸条約に基づきます戦闘の措置と国民保護措置とが識別されるようにという趣旨からいたしまして、国際特殊標章等の普及啓発に努めていくということが大事だと明記されております。その国際特殊標章でございますが、近日中にでき上がってまいるということを承知いたしております。こうしたことにつきましては、消防団とか自主防災組織の研修の場等でいろんな機会をとらえて周知を図っていきたいと、このように思っております。 それから、このフォーラムを白紙に戻して再検討したらどうかということでございました。今度のフォーラムは、市民の国民保護に関する理解を深めて、広く普及啓発するために開催をするものでございます。この日は参加者の方々と質疑応答の場を持ちたいと、このように考えていまして、そこでさまざまな立場からの意見も伺うということを考えております。 次に、志賀の原子力発電所の事故に関連してお尋ねでございました。今回の1号機の臨界事故は極めて重大な事故でございました。にもかかわらず、北陸電力が8年もの長きにわたりまして、国・地方自治体はもとより、地域住民に隠してきたことは看過できるものではございません。原子力発電の安全管理に係る信頼を大きく揺るがすものでございまして、こうしたことがあってはならないことと考えております。これまで、私も社長と何度もお会いしています。その都度、徹底した原因究明、再発防止策が必要ですよと、このように伝えてきています。専門的・技術的な問題でもございまして、国等の専門機関にゆだねなければならない領域も多いわけでございますから、徹底した原因究明、また再発防止のための国等の対応も求められるわけであります。したがいまして、北信越市長会はもちろん、全国市長会を通じまして要望もいたしております。ことしの5月の北信越市長会に加えまして、全国市長会でも、北陸電力を初めとする電力会社各社に対しまして、原因の徹底究明と再発防止を厳しく求めますとともに、国に対して指導と監視体制を一層強化することを要望いたしたところでございます。この10月に北信越市長会が開かれますが、そこでも実はこのことを取り上げて、そして要請する手続をするつもりでございます。運転再開の手続には、国の原子力安全・保安院の確認と検証を受けました後、志賀町長の同意と石川県知事の決定が必要ということになっておりますので、こうした機関において一連の手続が慎重に適正に行われていくものと思っております。 原発から撤退したらどうかという御趣旨でありました。原子力発電は、世界的にも地球温暖化の抑制に貢献するものと認められております。また、我が国のエネルギーの安定供給にも欠かせぬものというふうに思います。まずは、原子力発電の安全性の確保、信頼の回復を図ることが肝要でございます。電気事業者には、新エネルギー等電気利用法、こうした名前の法律によりまして自然エネルギー等の利用目標率が定められております。北陸電力から、風力や太陽光等の自然エネルギーの導入に向け、努力をしているんだと、このようにお聞きをいたしております。 それから、次に、認知症高齢者介護施設における人権擁護の件についてお尋ねがありました。所管の局長からお答えをし、また、愛玩動物の件でございますが、野良猫に係る対応についても所管の局長からお答えをし、私から、これからの取り組みの構想についてお尋ねでございましたので、お答えをいたします。平成18年の動物愛護法の改正によりまして、適正飼養--養うことでありますが、適正飼養に関する啓発、それから教育、動物飼養に伴う迷惑問題の対策等について基本指針が定められました。各都道府県は、動物愛護管理推進計画を今年度中に策定するということになっています。このことを受けまして、本市におきましても、愛玩動物の適正飼養に関する教室を開催したりするなどいたしまして、そして、他人に迷惑の及ばぬように呼びかけてまいりたいと、このように思っています。マナーの向上、そして教育現場での教育の中に取り入れる、こういうこともぜひ進めていく必要があると思っておる次第でございます。 ○議長(宮保喜一君) 石原教育長。     〔教育長石原多賀子君登壇〕 ◎教育長(石原多賀子君) 28番森議員にお答えいたします。 今後の啓発の中で、いかに国際人道法を学ぶのか、教育委員会の考え方をお聞きでいらっしゃいました。学校においては、人権尊重の精神をすべての教育活動の中ではぐくんでおり、社会科や総合的な学習の時間などにおいて、国際紛争や難民問題などを取り上げ、児童・生徒の発達段階に応じて平和の大切さについて学んでいるところでございます。 以上でございます。 ○議長(宮保喜一君) 横山福祉健康局長。     〔福祉健康局長横山外茂二君登壇〕 ◎福祉健康局長(横山外茂二君) 認知症高齢者介護施設において、入所者の人権を守る対応は十分とられているのか、その把握と指導体制は万全と言えるのか、また、人権を尊重した介護を推進するため、市としてどう取り組みを強めるのかとお尋ねがございました。市といたしましては、特別養護老人ホームや介護老人保健施設に対しまして、毎年、現地調査を行い、人権を尊重したサービスの提供についても指導しております。また、利用者やその家族からの苦情・相談があれば、介護保険運営協議会内に設置した苦情等専門部会におきまして協議し、解決を図っております。御指摘の件についても、事実を確認の上、適切に対応してまいります。また、施設職員の人権に対する意識を高めるため、今年度は施設における高齢者虐待をテーマといたしまして研修会を実施する予定でございます。 次に、野良猫に係る対応についてお尋ねがございました。市民から野良猫に関する相談があれば、直ちに現地調査を行い、周辺住民の方には、えさを与えないよう班回覧等で理解を求めるとともに、えさを与えている方には、近隣の人たちに迷惑をかけないよう室内飼いを指導しております。 以上でございます。     〔「議長、28番、再質問」と呼ぶ者あり〕 ○議長(宮保喜一君) 28番森一敏君。 ◆28番(森一敏君) 私は、市長が平和愛好者である、これはよく存じ上げているつもりです。それゆえに、この問題について何度か質問をさせていただいております。 危機管理等の専門家ということでありますけれども、この危機管理というのが非常に危ういところがありまして、特にこの国民保護法を含めて有事の体系というのは、攻撃を受けるという前提で対処を構築するという特質があるわけです。それは人災でもありますから、自然災害への対処とはその点がまた異なってくる。同時に、それであるがゆえに相手を想定するという部分が人々の心理の中にどうしても浮き出てくる。ここの部分を強調されますと、平和を求めるということが出発点であったかもしれないけれども、逆に緊張を高めたり、敵がい心情を不要に持たせてしまったり、そういうマイナスの効果が生まれてくるだろう、そこのところを私は一番心配をしているわけです。今の地域紛争についても、そろそろ見直しが必要だと国際社会が動き出していますし、アジアでも平和構想というものが、今、隣国のところでも具体的に動き出しているわけですね。そういう時期にあって、この日本の中で自治体が主催するこの研修会の中で、ゆめゆめ敵国感情をあおるというような内容の勉強会が行われてはならないだろう、このように強く思っているわけです。ですから、その講師の人選に当たって、そこの心配があるということを申し上げました。このフォーラムが変えられないということであれば、その場が、今私が申し上げましたような危惧をするような場にならないように、市として十分配慮していただきたいと思います。これが第1点です。 それから、啓発の問題ですけれども、啓発についても、特殊標章については再三御答弁がありました。それについてはしっかりと周知徹底しなければならない、これはよく理解いたします。しかし、人道法はそれだけではありません。人道法の趣旨というのは、日ごろからの備えと予防ということの中の啓発ということでありますから、いかに国際間の緊張を高めずに、平和裏に人々の友好関係が増進できるようにするか、そのことをみんな住民も責任を持つ、そういう精神が国際人道法を学ぶということではないかと言われておるわけです。そういう意味では、特殊標章の扱いだけではなくて、国際人道法の持っている根源的な価値観というものを金沢の住民も十分理解する機会が保障されなければならないだろう、子供たちも含めて。そういう問題意識で御質問いたしましたので、この人道法の扱いについて、もう一歩踏み込んで、研究をぜひしていただきたいと思いますけれども、御所見を伺います。 ○議長(宮保喜一君) 山出市長。     〔市長山出 保君登壇〕 ◎市長(山出保君) 私は、基本的には国民保護計画というものの前提は法律にあると、国会がお決めになったものが、まずは前提であるということを私としてはやはり尊重しなければいけない立場にあるということが一つございますし、それから、具体的な件でありますが、初めに人を選別をするということの是非について、私自身はいささか消極的でございまして、むしろ広く人の意見をお聞きするということも大切ではなかろうかなという思いがいたします。当日の運営につきまして、質疑応答の時間も設けるということでございますので、どうかひとつ深い御理解をいただきたいと、このように思います。 それから、人道法のことでございますが、私自身は、非常時において人道法の尊重というものが、果たしてどの程度の実効性といいますか、そういうことが期待できるのかということになりますと、いささか危惧を覚える一人なのであります。しかし、今お話しになりました御趣旨は、そのこととは別にして、平和は大事なんだぞと、そういうことを人道法の尊重という視点で広く周知する必要があると、こういう御趣旨でございますので、このことについて異論はありません。努力をしていきたいと思います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ △散会 ○議長(宮保喜一君) これにて、本日の質疑並びに一般質問を終わります。 次の本会議は、明13日午前10時から開きます。 本日はこれにて散会いたします。     午後2時53分 散会---------------------------------------   〔参照〕---------------------------------------                   (写)                               発財号外                               平成19年9月11日                               (2007年)  金沢市議会議長  宮保喜一様                         金沢市長  山出 保               説明員の欠席について(通知) 先に収財第36号をもって通知しました議会説明員のうち、企業総務課長 永井信幸は、忌引きのため9月12日から14日までの議会を欠席しますので、よろしくお取り計らい願います。---------------------------------------   〔参考〕--------------------------------------- 平成19年定例第3回金沢市議会               発言者順序表発言予定日発言順序議席番号議員名会派名9月12日(水)138玉野 道自民党226田中 仁市民332増江 啓公明党429森尾嘉昭日本共産党528森 一敏社民9月13日(木)617宮崎雅人自民党714松村理治市民88秋島 太公明党99大桑 進日本共産党1010山本由起子社民1115久保洋子自民党9月14日(金)123高岩勝人自民党137小阪栄進市民1430升 きよみ日本共産党1513清水邦彦市民1616安居知世自民党...